消失者たち

【緊急会議】
日時: 2023年11月20日 午前9時
場所: 警視庁本部 特別会議室
出席者:
* 警視総監 小林太郎
* 捜査第一課長 松岡信夫
* 警部 三島隆
* その他、幹部職員

警視総監:
「……つまり、失踪者たちは遺伝子によって選ばれた、ということですね」
三島警部:
「はい。犯人は医療機関から血液データを盗み、HGM-7q31変異体を持つ人々を特定していました」
警視総監:
「その遺伝子を持つ人は、全国で約100万人……」
三島警部:
「はい。つまり、まだ99万人以上のターゲットがいることになります」
会議室に沈黙が流れる。
松岡課長:
「犯人の目的は?なぜその遺伝子を持つ人々を集めているのか?」
三島警部:
「わかりません。しかし、木下研究官の報告によれば、その遺伝子は『未知の環境への適応能力』を持つとのことです」
警視総監:
「未知の環境……宇宙か?深海か?」
三島警部:
「可能性はあります。あるいは……もっと我々の想像を超えた何かかもしれません」
警視総監:
「この情報、報道機関には?」
松岡課長:
「まだです。パニックを避けるため、情報統制しています」
警視総監:
「そうしてください。しかし、いつまで隠せるか……
三島警部、犯人の特定を急いでください。一刻も早く」
三島警部:
「了解しました。ただ……」
警視総監:
「何ですか?」
三島警部:
「もう一つ、報告があります。全国の警察からの情報によれば、類似の失踪事件が急増しています」
警視総監:
「急増……どのくらい?」
三島警部:
「過去1週間で、全国で47件。全て、血液検査を受けた後に失踪しています」
警視総監:
「47件……!?」
三島警部:
「はい。犯人は活動を加速させています。
もはや関東だけの問題ではありません。全国規模の事件です」

会議室の空気が凍りつく。
警視総監:
「……緊急対策本部を設置します。全国の警察と連携し、総力を挙げてこの事件を解決する。
三島警部、あなたを対策本部の責任者に任命します」
三島警部:
「はい」
警視総監:
「時間がありません。次の犠牲者を出す前に、犯人を捕まえてください」

【三島隆の独白】
会議を終え、三島は執務室に戻った。
デスクに座り、顔を手で覆う。



7件。
1週間で47件。
このペースでは、1ヶ月で200件を超える。
犯人は何を急いでいる?
なぜ今、大量に人を集めているのか?
三島はファイルを開く。
最新の失踪事件のリスト。
北海道から沖縄まで、全国に散らばっている。
年齢、性別、職業、全てバラバラ。
しかし、全員が「HGM-7q31変異体」を持っているはずだ。
三島は考える。
犯人は、100万人の中から、さらに何らかの基準で絞り込んでいる。
血液検査を受けた人。
つまり、「血液データが入手可能な人」。
では、逆に考えれば……
血液検査を受けていない人は、ターゲットにならない?
いや、違う。
犯人はいずれ、全ての「HGM-7q31変異体保有者」を狙うだろう。
時間の問題だ。
三島は立ち上がり、窓の外を見る。
東京の街。
何百万人もの人々が、日常を生きている。
その中の誰かが、次のターゲット。
そして、犯人は……どこにいる?