雨と傘と君と

「上崎頑張ってたな」

「何それ、煽り?」

「違うよ」

「このザマなのに」

 擦りむいた腕を軽く上げ、自嘲するように言えば、絹本は少しむっとした表情になった。

「ずっと真剣だったでしょ。俺はそういうとこ好き」

 またこういうことを恥ずかしげもなく言う。
 こんなことを言われれば、誰だって勘違いしてしまうと思う。もしかすると俺のこと好きなんじゃね? って。
 モテる要因のひとつは天然たらしだろうか。じきに刺されそうだと心配になる。

「そういうこと簡単に言わない方がいいよ」

 そう言うと、絹本はますます眉間の皺を深めたように見えた。何もわかってない。
 少しの間沈黙が続き、彼が「あのさ」と切り出した辺りで、保健室のプレートが見えて、声が途切れた。

「なんか言おうとした?」

「……なんでもない」

 「ここまで来たからには手当受けてもらうから」と、彼は先に保健室に入っていった。