テストが終わってから初めての休日。
いつも通りすっきりするかと思ったら、そういうわけでもなく、なんだか腑に落ちないような感情になってしまった。
メッセージを適当に返信していると、如月からこんなメールが入っていた。
「テスト頑張れたかも!翠はどうだった?」
いつも通りの可愛い文面で送られてきたメールは、どうやらテストの日の放課後に送られてきていたメールだった。
返信することが遅れたのを心の中で謝りつつ、返信する。
「返信遅れてごめん。テスト結構やばいかも」
軽く返して電源を落とす。
ふうっと息を吐いてベッドに横になる。
なんで、こんなにも努力ができて成果が出てしまうのだろうか。
そんなことが不思議でしかなかった。
最近は自分の感情がわからなくなることが多い。
疲れているのか、別のことが原因なのかは定かではないのだが、なぜかおかしい。
「翠〜!出かけるよー!」
お母さんの声で現実に引き戻される。
「あ、忘れてた」
そういえば、昨日の夕食中に大型ショッピングモールに行こうという話を家族でしていたのを思い出した。
「今から準備するー」
階段から返事をして、すぐに準備に取り掛かる。
鏡の前で前髪のない頭をいじり、ああでもないこうでもないと言いながら整える。
最近は自分の容姿がいつもより気になる。
周りの人や世でいう可愛い子はみんな軽い前髪を持っていて、目が大きくて、お人形さんみたいだ。
私はお母さんに似て、いわゆる昭和顔をしているので、お世辞にも可愛いとは言える姿ではない。
適当にカバンに荷物を詰めて玄関へ走る。
「ごめん、遅くなった」
「最近そればっかり。他の服も着たらどう?」
近頃はずっと二着の服を着まわしている。
選ぶのが面倒臭いのもあるが、外の人に可愛いと言われた服以外の服を着ると、似合わなかったりファッションセンスがないと思われてしまわないかが怖いのだ。
そこでふと如月の顔が浮かぶ。
彼は今何をしているんだろう。
勉強だろうか、ゲームだろうか。
そんなことを考え始めたら、私も楽しくショッピングモールになんて行っている場合ではない気がしてきた。
「お母さん、やっぱり私行かない」
「は?どういうこと?」
「やらないといけないこと思い出した!私抜きで行って!」
「え?ちょっと!」
お母さんの言葉を無視して家に戻る。
なぜか今、私は勉強しなきゃと思ったのと同時に、如月のことが気になった。
急いで部屋に戻ると、如月から一件の通知が来ていた。
「そっかー。でも、頑張ったんだからいいんじゃない!」
私はどうしてか泣きそうになった。
いつもはこんな言葉で泣かないはずなのに。
褒められて嬉しいはずなのに。
なぜ、こんなにも嬉しいんだろう。
中学生になってから人に褒められることが減ったからだろうか。
私はスマホをぎゅっと握りしめてベッドに寝転がる。
「はぁ…」
吐息と共に、私の心に溜まっていた何かが吐き出される。
今なら、いつものテスト終わりの感覚を取り戻したようだった。
テストから解放された気分を取り戻した私は、スマホの電源を入れ直す。
「如月、今度遊びに行かない?」
気づいたらそんなことを送っていた。
慌てて取り消そうとしたがら、すぐに既読がついてしまった。
ここで消すと変に思われそうなので、取り消すことは諦めた。
「いーよ!でも急になんで?」
そりゃそうだ。
いくらなんでも急に異性から遊びに誘われたら、如月でも混乱するだろう。
「今の嘘。送る人間違えた」
短く返信したが、如月からすぐに長文が送られてきた。
「俺遊びに行きたい!どこがいい?図書館とかでもいいけど、どうせならテスト終わりだし、外行きたいよね?でも遠すぎると遊ぶ時間短くなっちゃうからなー…」
改めてフリック入力の速さに驚かされたが、そんなことに驚いている場合ではない。
如月と遊びに行くなんて。
嫌だという感情よりも、焦りの気持ちの方が大きかった。
「どこでもいいけど、間違えたんだって」
誤魔化すために嘘に嘘を重ねていく。
「えー!やだ!」
子供じみたメールに頬が緩んでしまう。
「行きたい場所でもあるの?」
一応聞いてみることにした。
もしも彼にそういった場所があるのなら、一日だけなら隣に居させてもらおうと思ったのだ。
「ここ!」
そのメールと共に送られてきた公式サイトを開いてみると、今日私が行こうとしていたところだった。
車で片道30分ほどかかるところで、とても大きいショッピングモールだ。
「なんで?」
「翠と遊ぶにはこんぐらい面白いところじゃないとね!」
理由はよくわからなかったが、彼が望んでいるのであれば、行ってやってもいいかななんて気持ちになった。
「いつ行くの?」
「来週祝日あるよね?」
来週?と思ってカレンダーを見る。
来週には祝日なんてなさそうだ。
再来週にならある。
「再来週じゃなくて?」
十秒ほど返信がないなと思っていると、
「あ、再来週か!笑」
とメッセージが送られてきた。
「じゃあ再来週ね!俺これから塾あるから返信できなくなる!またね!」
再来週と来週を間違えるとは何歳だよと思いつつ、そんなところを可愛いなと思った。
そこで私は気がついた。
可愛いってなんで思っているんだ、と。
男子にこんな感情を持つのは初めてだし、ましてやまだ会って名前を知ってから半年ほどしか経っていない。
考え始めると訳がわからなくなるので、最近話題のAIを使ってみることにした。
AIに事情を説明すると、私のこの症状は「恋」らしい。
ちょっと待て、恋?
AIはやっぱり間違えやすいのだろうか。
サイトの一番下にも「AIの回答には間違ったものもあります」と書いてあるし、やっぱり間違っているのかもしれない。
もう一度ページを再読み込みしてやり直したが、やっぱり「恋」と言われた。
「はあ!?」
驚きのあまり声が出た。
確かに今まで感じてこなかった感情ではあったが、AIに教えてもらって気づく感情が、恋だとは思いもしなかった。
どうしよう、頭が追いつかない。
これから如月にどんな顔をして会えばいいんだろう。
恋という言葉を意識し始めただけで急にソワソワしてきた。
明後日に会うのに、私にはそれがもう一時間後のことかのように焦りだす。
もし本当にこれが恋なのなら、私は片思いになってしまう気がした。
なんで、なんで、なんで。
全然成績も性格も違う彼のことが好きになってしまうのだろう。
私は私の感情がわからなくなってしまった。
いつも通りすっきりするかと思ったら、そういうわけでもなく、なんだか腑に落ちないような感情になってしまった。
メッセージを適当に返信していると、如月からこんなメールが入っていた。
「テスト頑張れたかも!翠はどうだった?」
いつも通りの可愛い文面で送られてきたメールは、どうやらテストの日の放課後に送られてきていたメールだった。
返信することが遅れたのを心の中で謝りつつ、返信する。
「返信遅れてごめん。テスト結構やばいかも」
軽く返して電源を落とす。
ふうっと息を吐いてベッドに横になる。
なんで、こんなにも努力ができて成果が出てしまうのだろうか。
そんなことが不思議でしかなかった。
最近は自分の感情がわからなくなることが多い。
疲れているのか、別のことが原因なのかは定かではないのだが、なぜかおかしい。
「翠〜!出かけるよー!」
お母さんの声で現実に引き戻される。
「あ、忘れてた」
そういえば、昨日の夕食中に大型ショッピングモールに行こうという話を家族でしていたのを思い出した。
「今から準備するー」
階段から返事をして、すぐに準備に取り掛かる。
鏡の前で前髪のない頭をいじり、ああでもないこうでもないと言いながら整える。
最近は自分の容姿がいつもより気になる。
周りの人や世でいう可愛い子はみんな軽い前髪を持っていて、目が大きくて、お人形さんみたいだ。
私はお母さんに似て、いわゆる昭和顔をしているので、お世辞にも可愛いとは言える姿ではない。
適当にカバンに荷物を詰めて玄関へ走る。
「ごめん、遅くなった」
「最近そればっかり。他の服も着たらどう?」
近頃はずっと二着の服を着まわしている。
選ぶのが面倒臭いのもあるが、外の人に可愛いと言われた服以外の服を着ると、似合わなかったりファッションセンスがないと思われてしまわないかが怖いのだ。
そこでふと如月の顔が浮かぶ。
彼は今何をしているんだろう。
勉強だろうか、ゲームだろうか。
そんなことを考え始めたら、私も楽しくショッピングモールになんて行っている場合ではない気がしてきた。
「お母さん、やっぱり私行かない」
「は?どういうこと?」
「やらないといけないこと思い出した!私抜きで行って!」
「え?ちょっと!」
お母さんの言葉を無視して家に戻る。
なぜか今、私は勉強しなきゃと思ったのと同時に、如月のことが気になった。
急いで部屋に戻ると、如月から一件の通知が来ていた。
「そっかー。でも、頑張ったんだからいいんじゃない!」
私はどうしてか泣きそうになった。
いつもはこんな言葉で泣かないはずなのに。
褒められて嬉しいはずなのに。
なぜ、こんなにも嬉しいんだろう。
中学生になってから人に褒められることが減ったからだろうか。
私はスマホをぎゅっと握りしめてベッドに寝転がる。
「はぁ…」
吐息と共に、私の心に溜まっていた何かが吐き出される。
今なら、いつものテスト終わりの感覚を取り戻したようだった。
テストから解放された気分を取り戻した私は、スマホの電源を入れ直す。
「如月、今度遊びに行かない?」
気づいたらそんなことを送っていた。
慌てて取り消そうとしたがら、すぐに既読がついてしまった。
ここで消すと変に思われそうなので、取り消すことは諦めた。
「いーよ!でも急になんで?」
そりゃそうだ。
いくらなんでも急に異性から遊びに誘われたら、如月でも混乱するだろう。
「今の嘘。送る人間違えた」
短く返信したが、如月からすぐに長文が送られてきた。
「俺遊びに行きたい!どこがいい?図書館とかでもいいけど、どうせならテスト終わりだし、外行きたいよね?でも遠すぎると遊ぶ時間短くなっちゃうからなー…」
改めてフリック入力の速さに驚かされたが、そんなことに驚いている場合ではない。
如月と遊びに行くなんて。
嫌だという感情よりも、焦りの気持ちの方が大きかった。
「どこでもいいけど、間違えたんだって」
誤魔化すために嘘に嘘を重ねていく。
「えー!やだ!」
子供じみたメールに頬が緩んでしまう。
「行きたい場所でもあるの?」
一応聞いてみることにした。
もしも彼にそういった場所があるのなら、一日だけなら隣に居させてもらおうと思ったのだ。
「ここ!」
そのメールと共に送られてきた公式サイトを開いてみると、今日私が行こうとしていたところだった。
車で片道30分ほどかかるところで、とても大きいショッピングモールだ。
「なんで?」
「翠と遊ぶにはこんぐらい面白いところじゃないとね!」
理由はよくわからなかったが、彼が望んでいるのであれば、行ってやってもいいかななんて気持ちになった。
「いつ行くの?」
「来週祝日あるよね?」
来週?と思ってカレンダーを見る。
来週には祝日なんてなさそうだ。
再来週にならある。
「再来週じゃなくて?」
十秒ほど返信がないなと思っていると、
「あ、再来週か!笑」
とメッセージが送られてきた。
「じゃあ再来週ね!俺これから塾あるから返信できなくなる!またね!」
再来週と来週を間違えるとは何歳だよと思いつつ、そんなところを可愛いなと思った。
そこで私は気がついた。
可愛いってなんで思っているんだ、と。
男子にこんな感情を持つのは初めてだし、ましてやまだ会って名前を知ってから半年ほどしか経っていない。
考え始めると訳がわからなくなるので、最近話題のAIを使ってみることにした。
AIに事情を説明すると、私のこの症状は「恋」らしい。
ちょっと待て、恋?
AIはやっぱり間違えやすいのだろうか。
サイトの一番下にも「AIの回答には間違ったものもあります」と書いてあるし、やっぱり間違っているのかもしれない。
もう一度ページを再読み込みしてやり直したが、やっぱり「恋」と言われた。
「はあ!?」
驚きのあまり声が出た。
確かに今まで感じてこなかった感情ではあったが、AIに教えてもらって気づく感情が、恋だとは思いもしなかった。
どうしよう、頭が追いつかない。
これから如月にどんな顔をして会えばいいんだろう。
恋という言葉を意識し始めただけで急にソワソワしてきた。
明後日に会うのに、私にはそれがもう一時間後のことかのように焦りだす。
もし本当にこれが恋なのなら、私は片思いになってしまう気がした。
なんで、なんで、なんで。
全然成績も性格も違う彼のことが好きになってしまうのだろう。
私は私の感情がわからなくなってしまった。
