ルックアットミー

暖かくて優しい手に触れるのは久しぶりで、一瞬状況が理解できなかったほどだ。
私を傷つけない手は実の母だけが持っていたわけじゃないんだと、気が付いた。
「偉いわね早紀ちゃん。でも無理しちゃダメよ?」
そういうと女性は弟をおんぶして、私の手を握り締めて家まで送り届けてくれた。
弟が怪我をして、私が手当てをすればみんなが褒めてくれる。
優しい手が頭を撫でて手を握ってくれる。
私がそう学習した瞬間だった。
それからの私は自分を止めることができなくなっていた。
毎日のように弟の体に包帯を巻いて外へ連れ出して、今日は階段で転んだ、昨日は友達と喧嘩をしたのだと嘘をついて大人たちから同情を買った。