ルックアットミー

そう答えたけれど、病院なんて行っていなかった。
家ではあまり両親と顔を合わさないからバレる心配もない。
もしバレそうになっても、今ならまだ誤魔化せる範囲だった。
移動教室の時間、クラスのみんなに混ざって廊下を歩いているとふいに頭がクラリとして立ち止まった。
壁に手をついて深呼吸を繰り返す。
あの薬を飲み始めてから、ときどきこうしてメマイも起こるようになっていた。
「早紀ちゃん?」
明美がすぐに手を差し出してくる。
「大丈夫大丈夫。ちょっとメマイがしただけだから」
そう言いながらもすぐに動き出すのは難しくて、廊下の隅っこに座り込んで休憩することになった。