ルックアットミー

明美と一緒に教室を出ていく私を千鶴ちゃんがずっと不安そうな表情で見つめていた。
空からは大粒の雨が振り始めていたけれど、明美が黒くて大きなコウモリ傘を持ってきていたので一緒に入ることができた。
「本当に黒色が好きなんだね」
傘に雨が当る音を聞きながら言うと明美が笑顔で頷いた。
「黒色ってすべての色を塗り潰すことができるでしょう? だから世界は黒でいいと思うの」
それは独特の感性だった。
確かに黒はすべての色を染めてしまうかもしれないが、絵具だとそうはいかない。
嫌でも他の色と混ざりあうし、白色を相手にすると灰色に変化してしまう。
それでも明美は黒色が一番強いのだと言って笑った。
電車に乗って30分で到着する駅で下車すると、明美はそのまま歩き始めた。