時は2069年。
技術も人間も世界も、すべてが大昔よりもアップデートされた時代には。聖人と言われる人たちがいる。
聖人とは、国家機関、セイント・ガバメント。通称『聖人機関』に属する人たちのことだ。
聖人ははるか昔に存在していた『警察』という組織に変わって日々悪人を捕まえたり世の中に蔓延る化け物をお掃除していたりしている。
どんなに技術が上がった世界でもやっぱり異世界ファンタジーのようなモンスターは存在するのだ。
どんなものか、俺は見たことないど。
「おい。聞いているか。罪人109987番。イトクレオトナシ!」
俺の左隣を俺と同じ歩幅で歩いていた警備員──まぁ国家の犬がうるさく口を開いた。思わず俺の鼓膜がビクリと震える。
「あ?あーはいはい。聞いてるよ。で?さっきまでなんの話してたっけ?」
警備員、もとい国家の犬のまた更に左隣の罪人がうざったそうに口を開いた。さっそく一番初めに言った言葉と矛盾している。
「まったく聞いていないじゃないか!はぁ…ふざけるのもいい加減にしろ!ここは「タルタロス」。お前のような極悪人を収監する脱出不可能な檻だ!そして、ここは聖人様たちの御前だぞ!」
「はいはい。全く最近の護衛さんたちは言葉とか身振りが固くていやになるよね。ホント。ねぇシドリちゃん?もっと楽しくラクにできないのかなぁ~?」
「なっ!貴様なんて口を!言ったのが自分だからまだよかったがこれが聖人様に言った言葉なら/だったら貴様を即刻打ち首にしていたところだぞ!」
左の警備員の声が今歩かされている灰色の無機質な廊下に反響していてうるさい。それに、うるせぇ声の原因は俺の左隣なのだ。
この罪人と警備員の御一行は四人で構成されており、一番右から警備員、俺、うるせぇ警備員、イトクレオトナシの順番に横一列で歩いている。
「ね~シドリちゃんはどう思う?」
一番左の奴…イトクレオトナシは国家の犬の注意もお構いなしに俺に話を振った。
どっちもうるせぇから心底黙っておいてほしい。
俺の右隣の警備員に喋ってもいいか?と目くばせをするとその警備員はもう何もかもがどうでもよくなったのかあきらめ気味に頷いた。
「うるせぇ。黙れ一番左の奴。」
「最初の一言目は何を言うかと思えば、ひっど~。あ、あと俺イトクレオトナシね!よろしく~。シドリちゃんは?」
「どうせ知ってんだろ。うぜぇ。関わってくんな」
「あはは!ドライだな~クログモシドリちゃんは~。第一印象って大事じゃん?そんなんじゃ女の子たちから嫌われちゃうよ~?」
「どうでもいい。あと死ね」
「うわ~突然の悪口~」
「あの」
突然俺の右隣の警備員が口を開いた。
「三人とも元気で結構なんだが…そろそろ静かにしてくれないか。もう夜なんだよ。じゃないと俺の鼓膜がブチ切れる前にお前ら三人の鼓膜をぶっ壊すぞ。」
「うわこっわ~やだやだ。だからこういう場所は嫌いなんだよな~俺。」
「やかましい!お前の方が野蛮だろう!」
「いやそれはホントにそう。あと左の警備員。テメェもだいぶうるせぇから黙れ。俺は今猛烈にねみぃんだよ」
「なっ!貴様、罪人の分際でなんという口のきき方…!」
「あ?あぁ、そりゃわりぃね。どうも育ちが悪いもんで。こちとらスラム育ちだからな。そりゃお前らみたいないいとこの温室育ちお坊ちゃんとは意見が合わねぇもんだ」
「お、言うね~シドリちゃん~。てかシドリちゃんもスラム街育ちなんだ?俺と一緒じゃん」
「うわキッショ。言わなければよかった。」
「ね~ね~さっきからなんか俺にだけ当たりが強くな~い?俺泣いちゃうよ~?」
「勝手に泣いとけよ罪人が。あと俺の口の悪さは平常運転だから口出ししてくんな」
「はいは~い」
また右の警備員がなにか言ってくるかと思ったがもう何も言わなかった。
何を言っても無駄だと諦めたようだ。
まぁ本人からしたら苦痛でしかないが俺にとっては雑音が一人減ったので大助かりだ。ありがたくこのチャンスをもらもらってもらって喋るとしよう。
「ねぇねぇシドリちゃんってさスラム街の勉強ってどうしてた~?あそこって教育機関ゴミじゃ~んそれに教育費バカたけぇしさ~」
「あ!?お前は本当にうっぜぇな!んなん適当に拾った本とかで勉強したんだよ!」
「お~その手があったか~」
クッソ。何故だがうまいことこいつのペースに乗せられる…
「あは!今、俺の話のペースに乗せられるって思ったでしょ~」
「なっ!」
こいつ…オトナシは警備員の背中からひょっこり顔を出していた。
なにかの能力か…?
「お、だいせいか~い!これは俺の縷能縷能、縷死囁命縷死囁命ね。これは俺の糸を相手の脳に入れて操るんだ~まぁ平たく言うと脳をハックするっていう感じかな?」
「え…じゃぁ今俺お前の糸が脳に入ってるってこと?キッモ…普通に引くんだけど…」
「え~…ひっど~これでも俺の能力、結構役に立つんだよ?ほら、嫌いな奴を無理やり自死させたりとかさ」
「おえ」
「貴様ら…白糸持ち白糸持ちか…」
右隣の警備員が小さく呟いた。
うるせぇよ。俺の生き方まだ否定してくんな。この言葉を聞くたび俺の生き方を否定されている気分になる。好きでこうなってるわけじゃねぇんだよクソが。なんも知らねぇくせに…
ホンットいいご身分だなお前らは…
「おい、ついたぞ。ここが罪人109987番、110022番の独房だ!」
俺は鼓膜がぶった切れた警備員、イトクレオトナシはうるせぇ警備員によりそれぞれの檻の中に入れられた。
ガシャン!という音と共に独房の鍵がしまった。
これで俺たちは完全に外へ出る手段を失った。
「あーサイアクだ…」
独房は酷く狭くて埃っぽい。
広さ約三畳の小さな部屋には生活していく上で必要最低限の設備しか揃えられていない。
正面のおそらく刑務作業をする時にしか使わないであろう出入口は格子状だが、それ以外は壁になっている。
「ね~ね~シドリちゃん、しりとりしよ~」
あ?
コイツなんでこんなバカでかい声で話してんだ。
どうやらここの壁は薄いらしい。
「黙っとけクソ野郎」
「だってさ~ここ暇なんだもん。あ~早く出所してまた金稼ぎしたい~」
「大体テメェがなんの罪で捕まったんか知らねぇけど数ある刑務所の中でわざわざタルタロスにぶち込まれたっていうことはなんかとんでもねぇことやらかしたんじゃねぇの?ならそう簡単に出らんねぇできねぇよここは」
「まぁ~そうだよね~。つか俺は金稼ぎとかは第二の理由で本当はあの仕事が好きだったからやりたいんだけどね~」
「うわ俺と真逆の生き方だな。ちなみにどんな…」
「お、いいよ~俺の仕事気になっちゃった系?」
「まぁそうだけど…テメェまた俺の思考読んだな」
「なっはっは~バレた?俺はね~死体売買。」
「うわ聞いたことはある。お前って奴は俺よりヤベェ奴なんだな」
「ひどいな~まぁシドリちゃんがどこまで知ってるか知らないけど俺は死体売買の中でも糸を中心とした売買をしてたんだよね~リスクが小さい割に需要は高いから結構儲けてたんだ~」
「糸?」
「あー知らないか~まぁ結構マイナーだしね。裏社会じゃ需要高いんだけど。まず俺たちの体の中ってその人の人格を形成するための糸があんじゃん?その糸って死んでも残んのね?それを取り除いて売ってる。結構たけぇのよ?一本十万とか?」
「へぇ。」
「うわ興味な~。てかそっちは?こっち来たの?」
……。コイツ…人の過去をズケズケと聞いて来るタイプか。
そういうやつはあんまり好きじゃない。
まぁでも勝手に過去を覗かれるよりはだいぶマシだから俺はこの質問に答えようとした。
が。そのときに/タイミングで猛烈/強烈な睡魔が襲ってきた。
俺の搬送が予想以上に長引いてまともに寝れてないんだよな…
「うるせぇ黙っとけ。ついでに死ね」
俺はまたいつもの悪態をついてかったい部屋の中で眠りについた。
技術も人間も世界も、すべてが大昔よりもアップデートされた時代には。聖人と言われる人たちがいる。
聖人とは、国家機関、セイント・ガバメント。通称『聖人機関』に属する人たちのことだ。
聖人ははるか昔に存在していた『警察』という組織に変わって日々悪人を捕まえたり世の中に蔓延る化け物をお掃除していたりしている。
どんなに技術が上がった世界でもやっぱり異世界ファンタジーのようなモンスターは存在するのだ。
どんなものか、俺は見たことないど。
「おい。聞いているか。罪人109987番。イトクレオトナシ!」
俺の左隣を俺と同じ歩幅で歩いていた警備員──まぁ国家の犬がうるさく口を開いた。思わず俺の鼓膜がビクリと震える。
「あ?あーはいはい。聞いてるよ。で?さっきまでなんの話してたっけ?」
警備員、もとい国家の犬のまた更に左隣の罪人がうざったそうに口を開いた。さっそく一番初めに言った言葉と矛盾している。
「まったく聞いていないじゃないか!はぁ…ふざけるのもいい加減にしろ!ここは「タルタロス」。お前のような極悪人を収監する脱出不可能な檻だ!そして、ここは聖人様たちの御前だぞ!」
「はいはい。全く最近の護衛さんたちは言葉とか身振りが固くていやになるよね。ホント。ねぇシドリちゃん?もっと楽しくラクにできないのかなぁ~?」
「なっ!貴様なんて口を!言ったのが自分だからまだよかったがこれが聖人様に言った言葉なら/だったら貴様を即刻打ち首にしていたところだぞ!」
左の警備員の声が今歩かされている灰色の無機質な廊下に反響していてうるさい。それに、うるせぇ声の原因は俺の左隣なのだ。
この罪人と警備員の御一行は四人で構成されており、一番右から警備員、俺、うるせぇ警備員、イトクレオトナシの順番に横一列で歩いている。
「ね~シドリちゃんはどう思う?」
一番左の奴…イトクレオトナシは国家の犬の注意もお構いなしに俺に話を振った。
どっちもうるせぇから心底黙っておいてほしい。
俺の右隣の警備員に喋ってもいいか?と目くばせをするとその警備員はもう何もかもがどうでもよくなったのかあきらめ気味に頷いた。
「うるせぇ。黙れ一番左の奴。」
「最初の一言目は何を言うかと思えば、ひっど~。あ、あと俺イトクレオトナシね!よろしく~。シドリちゃんは?」
「どうせ知ってんだろ。うぜぇ。関わってくんな」
「あはは!ドライだな~クログモシドリちゃんは~。第一印象って大事じゃん?そんなんじゃ女の子たちから嫌われちゃうよ~?」
「どうでもいい。あと死ね」
「うわ~突然の悪口~」
「あの」
突然俺の右隣の警備員が口を開いた。
「三人とも元気で結構なんだが…そろそろ静かにしてくれないか。もう夜なんだよ。じゃないと俺の鼓膜がブチ切れる前にお前ら三人の鼓膜をぶっ壊すぞ。」
「うわこっわ~やだやだ。だからこういう場所は嫌いなんだよな~俺。」
「やかましい!お前の方が野蛮だろう!」
「いやそれはホントにそう。あと左の警備員。テメェもだいぶうるせぇから黙れ。俺は今猛烈にねみぃんだよ」
「なっ!貴様、罪人の分際でなんという口のきき方…!」
「あ?あぁ、そりゃわりぃね。どうも育ちが悪いもんで。こちとらスラム育ちだからな。そりゃお前らみたいないいとこの温室育ちお坊ちゃんとは意見が合わねぇもんだ」
「お、言うね~シドリちゃん~。てかシドリちゃんもスラム街育ちなんだ?俺と一緒じゃん」
「うわキッショ。言わなければよかった。」
「ね~ね~さっきからなんか俺にだけ当たりが強くな~い?俺泣いちゃうよ~?」
「勝手に泣いとけよ罪人が。あと俺の口の悪さは平常運転だから口出ししてくんな」
「はいは~い」
また右の警備員がなにか言ってくるかと思ったがもう何も言わなかった。
何を言っても無駄だと諦めたようだ。
まぁ本人からしたら苦痛でしかないが俺にとっては雑音が一人減ったので大助かりだ。ありがたくこのチャンスをもらもらってもらって喋るとしよう。
「ねぇねぇシドリちゃんってさスラム街の勉強ってどうしてた~?あそこって教育機関ゴミじゃ~んそれに教育費バカたけぇしさ~」
「あ!?お前は本当にうっぜぇな!んなん適当に拾った本とかで勉強したんだよ!」
「お~その手があったか~」
クッソ。何故だがうまいことこいつのペースに乗せられる…
「あは!今、俺の話のペースに乗せられるって思ったでしょ~」
「なっ!」
こいつ…オトナシは警備員の背中からひょっこり顔を出していた。
なにかの能力か…?
「お、だいせいか~い!これは俺の縷能縷能、縷死囁命縷死囁命ね。これは俺の糸を相手の脳に入れて操るんだ~まぁ平たく言うと脳をハックするっていう感じかな?」
「え…じゃぁ今俺お前の糸が脳に入ってるってこと?キッモ…普通に引くんだけど…」
「え~…ひっど~これでも俺の能力、結構役に立つんだよ?ほら、嫌いな奴を無理やり自死させたりとかさ」
「おえ」
「貴様ら…白糸持ち白糸持ちか…」
右隣の警備員が小さく呟いた。
うるせぇよ。俺の生き方まだ否定してくんな。この言葉を聞くたび俺の生き方を否定されている気分になる。好きでこうなってるわけじゃねぇんだよクソが。なんも知らねぇくせに…
ホンットいいご身分だなお前らは…
「おい、ついたぞ。ここが罪人109987番、110022番の独房だ!」
俺は鼓膜がぶった切れた警備員、イトクレオトナシはうるせぇ警備員によりそれぞれの檻の中に入れられた。
ガシャン!という音と共に独房の鍵がしまった。
これで俺たちは完全に外へ出る手段を失った。
「あーサイアクだ…」
独房は酷く狭くて埃っぽい。
広さ約三畳の小さな部屋には生活していく上で必要最低限の設備しか揃えられていない。
正面のおそらく刑務作業をする時にしか使わないであろう出入口は格子状だが、それ以外は壁になっている。
「ね~ね~シドリちゃん、しりとりしよ~」
あ?
コイツなんでこんなバカでかい声で話してんだ。
どうやらここの壁は薄いらしい。
「黙っとけクソ野郎」
「だってさ~ここ暇なんだもん。あ~早く出所してまた金稼ぎしたい~」
「大体テメェがなんの罪で捕まったんか知らねぇけど数ある刑務所の中でわざわざタルタロスにぶち込まれたっていうことはなんかとんでもねぇことやらかしたんじゃねぇの?ならそう簡単に出らんねぇできねぇよここは」
「まぁ~そうだよね~。つか俺は金稼ぎとかは第二の理由で本当はあの仕事が好きだったからやりたいんだけどね~」
「うわ俺と真逆の生き方だな。ちなみにどんな…」
「お、いいよ~俺の仕事気になっちゃった系?」
「まぁそうだけど…テメェまた俺の思考読んだな」
「なっはっは~バレた?俺はね~死体売買。」
「うわ聞いたことはある。お前って奴は俺よりヤベェ奴なんだな」
「ひどいな~まぁシドリちゃんがどこまで知ってるか知らないけど俺は死体売買の中でも糸を中心とした売買をしてたんだよね~リスクが小さい割に需要は高いから結構儲けてたんだ~」
「糸?」
「あー知らないか~まぁ結構マイナーだしね。裏社会じゃ需要高いんだけど。まず俺たちの体の中ってその人の人格を形成するための糸があんじゃん?その糸って死んでも残んのね?それを取り除いて売ってる。結構たけぇのよ?一本十万とか?」
「へぇ。」
「うわ興味な~。てかそっちは?こっち来たの?」
……。コイツ…人の過去をズケズケと聞いて来るタイプか。
そういうやつはあんまり好きじゃない。
まぁでも勝手に過去を覗かれるよりはだいぶマシだから俺はこの質問に答えようとした。
が。そのときに/タイミングで猛烈/強烈な睡魔が襲ってきた。
俺の搬送が予想以上に長引いてまともに寝れてないんだよな…
「うるせぇ黙っとけ。ついでに死ね」
俺はまたいつもの悪態をついてかったい部屋の中で眠りについた。
