ある行方不明事件の調査について

◯月☓日

定時巡回異状なし。

snsで暴露系として活動している知人より、ある少年グループを監視して欲しいと依頼あり。知人いわく、仲間内で暴力や恐喝があっている疑惑があるとのこと。送られてきた顔データを確認したところ、土日によく来店する不良グループと判明。監視する理由を聞いたところ、被害者の親から頼まれたとのこと。最近、こうした暴露系が盛り上がっているため、乗り遅れたくない理由もあるとのこと。この知人は社会正義よりも承認欲求が上回っており、やりすぎるところがあるため迷ったものの、報酬のよさと暴露されても問題ない連中だったため引き受けることにする。


◯月☓日

定時巡回異状なし。

顔認証システムが作動したため、防犯カメラによる監視を開始。依頼された少年グループ(少年四名、少女三名)を確認。ゲームコーナーにてたむろして騒いだ後、屋上駐車場へと移動したのを確認。ボディカメラによる撮影のため屋上へ移動。少年グループは人気のない場所で喫煙した後、情報通りひとりの少年をからかいながら次第に暴力をふるい始める。
それにしても、世の中こうした行為が撮影されてネットにさらされ痛い目にあう時代だというのに、相変わらず同じことを繰り返す連中があとを絶たないものだ。
それはなぜか?
理由は、単純に欲によって脳が壊れているからだろう。たとえば、この連中の欲は支配欲と承認欲求だ。見たところ、snsで知りあったような烏合の衆であり、少年たちの目的は少女たちの気をひくことと見受けられる。
だから、グループの中でより弱い者が餌食になる。弱い者はより弱い者にしか力を示せないからだ。
そうした欲求に負けた瞬間、脳は壊れてまともな思考ができなくなる。前例がいくらでもあるのに、こうして撮影されていることも、後にネットの餌食になることも想像できないのだ。
ひとしきり撮影を終えた後、カメラを近くの柱にセットして管轄の警察署へ通報(110番通報しないのは、110番だと本部の指令センターが指揮をとることで警察官が怠慢になり辛いため)した後、少年グループに声をかける。少年たちは笑いながら傲慢な態度をとりつつ、単にじゃれあってただけだと主張。その後、かけつけた警察官にも同じ説明をし、無事警察官もその内容で処理を行って対応終了となる。

※後日、撮影データを知人に渡し、防犯カメラの映像保存期間が切れた後に公開するように指示する(たまに警察がネットに投稿された映像から撮影者を割り出しに来るため)。
その後、この映像が公開され、少年グループ全員が身元を特定された後に激しいバッシングを受けることになる。さらには、警察の怠慢な対応にも非難が集中し、警察もようやく本腰を入れて捜査することとなり、結果、グループ全員が逮捕されることとなった。


◯月☓日

定時巡回中、中学生と思慮される少年少女の二人組に声をかけられる。少女の方は以前依頼のあったターゲットであったため慎重に対応する。どうやら行方不明になっている中山を探しているようで、中山が化粧品を万引きしていないかを確認してくる。とりあえずの常套句で応えたところで、水谷が割り込んできたため対応は打ち切りとなる。

※水谷に事情を確認したところ、こちらの動きはばれていないとのこと。ただし、この男は口が軽い上に見栄っ張りであるためよけいなことを口にしている可能性あり。面倒にならないうちに消すかどうか窃盗グループに後日相談予定。


◯月☓日

定時巡回異状なし。

昨日の件を調べるため、防犯カメラの調査を開始。少年たちの話によれば、中山は化粧品を万引きし、それが発覚したと知って再度化粧品売り場に確認に来ているはずだという。
まずは犯行当日の防犯カメラを調査したところ、中山の姿を化粧品売り場にて確認。ただし、他に制服姿で帽子を被った少女が同行しているもよう。映像から、中山は同行している少女に化粧品を確認しているように見える。ひとしきり売り場を回った後、犯行に及ぶことなく退店。その後、しばらくして先ほどの少女が再度来店。迷うことなく化粧品売り場に来ると、先ほど品定めした化粧品を手にとって売り場を徘徊。防犯カメラの死角を徘徊した後そのまま退店したため、犯行は確認できず。
次に、中山が犯行の発覚を確認しに来たとされる映像を確認。念の為数日分を調査。その間、多数の少年少女が来店し化粧品売り場を徘徊していたため特定に困難を極めたが、調査の結果中山の来店は確認できず。さらには同行していた少女の来店もなかった。

※化粧品の盗難については、売り場の従業員が店に報告していなかったことが判明(従業員にしたら面倒ごとであり、調査や警察の被害届の作成につきあわされるのを嫌がって黙っていることは珍しくない)。推察だが、その従業員が妹に話したことで、妹の学校で騒ぎになったもよう。
なお、少女については終始顔が判明しなかったが、犯行の手口(以前の化粧品万引き事案)と歩行の動きから、間違いなくわけありの少女と思われる。確か名前は、『宮下優奈』だったと記憶している。

※後日、宮下に犯行を確認したところ事実を認める。そのため、同じ中学生の男女ふたり組が訪ねてきたことを教え、このままだと万引きの件がばれる可能性があることを警告する。宮下は、警告に対して涼しい顔で笑顔を浮かべ、なんとかすると返答。その自信の理由を聞くと、驚愕の手口を平然と口にする。さすがに水谷がモンスターだと評価するだけのことはあると妙に感心しつつ、ついでに水谷の件を相談すると快く引き受けてくれた。