ショッピングセンターでの調査を終えた長島は、気が落ち着かないまま坂井と共に帰路についた。
「長島先輩、なんだかややこしい話になってきましたね?」
不安気にそう語る坂井もまた、長島と同じ考えをしているようだった。
「ただの万引きかと思ってたけど、なんだか物騒な話になってきた気がするよ」
坂井に同意すると、長島はさっき会った若い男のことを思い出した。
「とりあえず中山くんはやばい連中と関係があったことは間違いないみたいだ。どうやって知りあったかはわからなかったけど、あの男の言い分だと目をつけられた感じがするね」
「確かに、さっきの人、壊れかけていたから導いたとか言ってましたっけ」
「それに、欲についても語っていた。そこから考えたら、中山くんはなにかが欲しくて手をだそうか悩んでいたところを、あの男に声をかけられたのかもしれない」
長島は説明しながら、中山が持っていたパーカーを思い出した。中山の友達によると、中山は突然あのパーカーを手に入れたことになっている。とすれば、中山はパーカーが欲しいという欲に負けてあの男と一緒に万引きしたのかもしれない。
――それからエスカレートしたのかもしれないな
中山の机にあった受験の参考書の類は、たぶん中山が万引きして手に入れたのは間違いないはず。だとしたら、中山はあの男と手を組みながら色々と犯行を重ねていた可能性が高かった。
「私、あの人の話を聞いてちょっと怖くなりました」
「怖い?」
「だって、ショッピングセンターにあんな変な人がいるとは思わないじゃないですか。買い物するわけでもなく、ただひたすら欲に負けたり負けそうな人を探しているわけですよね? そんな犯罪のスカウトみいたことをやってる人がいるなんて、私、ちょっとびっくりしました」
やや大袈裟に語る坂井だったけど、その中身には同意以外なかった。
「確かにそう考えたら怖いよね。でもさ、ひとつ疑問があるんだ」
「疑問て、なにがですか?」
「あの男が言ったことが本当なら、あの男は四六時中欲に負けたり負けそうな人を探さないといけない。でもさ、いくらなんでも難しい気がする。店の中に四六時中いたら、さすがに不審者と思われてもおかしくないと思う。だから、そうならないようにターゲットを探すのは無理だと思うんだよね」
「それは、確かにそうかもしれませんね」
「だから、ひょっとしたらあの男に手助けしている人がいるんじゃないかって思ったんだ。ショッピングセンターにいついてもおかしくなくて、全体を監視できる――」
ひとつひとつ疑問を推理しようとした瞬間、長島の脳裏にある疑惑が浮かびあがってきた。
「ちょっと待って、ひょっとしたらあの警備員さんかもしれない」
「警備員さんて、あのおじさんですか?」
「そう、あのおじさんなら違和感なくターゲットを探せるかもしれない。ほら、警備員さんなら防犯カメラとかいつでもみることができるよね? だとしたら、防犯カメラで監視してあの男のターゲットになる人物を探せるかもしれない」
長島は坂井に説明しながら、自分の考えに身震いするような寒さを感じた。
「坂井さんは、ショッピングセンターに行ったときに防犯カメラなんて気にしたことある?」
「いえ、そんなこと考えたこともないですよ」
「僕もそうだ。買い物したり、友達とふざけてるときに誰かが監視してるなんて思ったことはない。でも、もし買い物しているところを一部始終監視されているとしたら? しかもその人がなにか犯罪に関わるような人だったとしたら?」
そう問いかけたところで、坂井は長島の考えを理解したかのように表情を失っていった。
「あのショッピングセンターでなにかが起きてるのは間違いないと思う。ひょっとしたら、そのなにかに巻き込まれて中山くんは姿を消したのかもしれない」
「それはそうかもしれません。でも、ちょっと待ってください。ショッピングセンターですよ? なにか特別な場所でもないし、この町に住む人なら買い物とかでいつも利用してる所ですよ? 確かにさっき会った人はちょっと怖かったですけど、でも、本当にショッピングセンターでそんな怖いことってありえるんですか?」
「もちろん、僕の考えが百パーセントあってるとは思わない。でも、あの男の言ってたことから考えたら、誰も意識しない防犯カメラの裏で密かになにかが行われている可能性はあると思う」
長島はそう口にすると、背後で小さくなった見慣れたショッピングセンターに目を向けた。
「もしかしたら、これ以上の調査は危険かもしれない」
「どうしてですか?」
「中山くんがあの男の人たちと関わって姿を消したとしたら、そこにはひょっとしたら僕らの想像つかない危険があるかもしれない」
そう説明しながら、長島はとんでもないことに巻き込まれた気がしてならなかった。
そしてそれは、表情を失った坂井も同じように見えた。
「長島先輩、なんだかややこしい話になってきましたね?」
不安気にそう語る坂井もまた、長島と同じ考えをしているようだった。
「ただの万引きかと思ってたけど、なんだか物騒な話になってきた気がするよ」
坂井に同意すると、長島はさっき会った若い男のことを思い出した。
「とりあえず中山くんはやばい連中と関係があったことは間違いないみたいだ。どうやって知りあったかはわからなかったけど、あの男の言い分だと目をつけられた感じがするね」
「確かに、さっきの人、壊れかけていたから導いたとか言ってましたっけ」
「それに、欲についても語っていた。そこから考えたら、中山くんはなにかが欲しくて手をだそうか悩んでいたところを、あの男に声をかけられたのかもしれない」
長島は説明しながら、中山が持っていたパーカーを思い出した。中山の友達によると、中山は突然あのパーカーを手に入れたことになっている。とすれば、中山はパーカーが欲しいという欲に負けてあの男と一緒に万引きしたのかもしれない。
――それからエスカレートしたのかもしれないな
中山の机にあった受験の参考書の類は、たぶん中山が万引きして手に入れたのは間違いないはず。だとしたら、中山はあの男と手を組みながら色々と犯行を重ねていた可能性が高かった。
「私、あの人の話を聞いてちょっと怖くなりました」
「怖い?」
「だって、ショッピングセンターにあんな変な人がいるとは思わないじゃないですか。買い物するわけでもなく、ただひたすら欲に負けたり負けそうな人を探しているわけですよね? そんな犯罪のスカウトみいたことをやってる人がいるなんて、私、ちょっとびっくりしました」
やや大袈裟に語る坂井だったけど、その中身には同意以外なかった。
「確かにそう考えたら怖いよね。でもさ、ひとつ疑問があるんだ」
「疑問て、なにがですか?」
「あの男が言ったことが本当なら、あの男は四六時中欲に負けたり負けそうな人を探さないといけない。でもさ、いくらなんでも難しい気がする。店の中に四六時中いたら、さすがに不審者と思われてもおかしくないと思う。だから、そうならないようにターゲットを探すのは無理だと思うんだよね」
「それは、確かにそうかもしれませんね」
「だから、ひょっとしたらあの男に手助けしている人がいるんじゃないかって思ったんだ。ショッピングセンターにいついてもおかしくなくて、全体を監視できる――」
ひとつひとつ疑問を推理しようとした瞬間、長島の脳裏にある疑惑が浮かびあがってきた。
「ちょっと待って、ひょっとしたらあの警備員さんかもしれない」
「警備員さんて、あのおじさんですか?」
「そう、あのおじさんなら違和感なくターゲットを探せるかもしれない。ほら、警備員さんなら防犯カメラとかいつでもみることができるよね? だとしたら、防犯カメラで監視してあの男のターゲットになる人物を探せるかもしれない」
長島は坂井に説明しながら、自分の考えに身震いするような寒さを感じた。
「坂井さんは、ショッピングセンターに行ったときに防犯カメラなんて気にしたことある?」
「いえ、そんなこと考えたこともないですよ」
「僕もそうだ。買い物したり、友達とふざけてるときに誰かが監視してるなんて思ったことはない。でも、もし買い物しているところを一部始終監視されているとしたら? しかもその人がなにか犯罪に関わるような人だったとしたら?」
そう問いかけたところで、坂井は長島の考えを理解したかのように表情を失っていった。
「あのショッピングセンターでなにかが起きてるのは間違いないと思う。ひょっとしたら、そのなにかに巻き込まれて中山くんは姿を消したのかもしれない」
「それはそうかもしれません。でも、ちょっと待ってください。ショッピングセンターですよ? なにか特別な場所でもないし、この町に住む人なら買い物とかでいつも利用してる所ですよ? 確かにさっき会った人はちょっと怖かったですけど、でも、本当にショッピングセンターでそんな怖いことってありえるんですか?」
「もちろん、僕の考えが百パーセントあってるとは思わない。でも、あの男の言ってたことから考えたら、誰も意識しない防犯カメラの裏で密かになにかが行われている可能性はあると思う」
長島はそう口にすると、背後で小さくなった見慣れたショッピングセンターに目を向けた。
「もしかしたら、これ以上の調査は危険かもしれない」
「どうしてですか?」
「中山くんがあの男の人たちと関わって姿を消したとしたら、そこにはひょっとしたら僕らの想像つかない危険があるかもしれない」
そう説明しながら、長島はとんでもないことに巻き込まれた気がしてならなかった。
そしてそれは、表情を失った坂井も同じように見えた。


