子供会の肝試しで起きたことを久しぶりに思い出した

 始まりは私が小学生の頃、子ども会のイベントに参加した日の事だ。
 めちゃくちゃ暑い日で、月も風も無かったのを覚えている。
 深海みたいなねっとりとした息苦しい夜だった。
 イベントの目玉は肝試し。ルールは3人1組で規定のルートを回ってゴールのやつ。

 ウチらの組は私が最年長でもう二人は年下だった。
 ルートは会場の農協倉庫前広場から田んぼを二反歩ほどぐるりと周り、途中に小さな墓地の前を通って帰って来ると言うシンプルなコース。

 バカなガキだったので歌いながら行けば怖くねーよ!とグリットマンの主題歌を歌いながら先頭を歩いた。
 途中で子ども会の親がゴリラマスク被って出て来たので爆笑してしまった。
 まあ我々はすんなり無事に回れたんだけどウチらの後にスタートした一組が帰って来ない。

 肝試し後は焼きそばを焼いて食う予定だったからすげえ腹が減っていたのを覚えている。

 だがしかし、待てど暮らせど帰って来ない。既に40分くらい経っていた。
 ルート自体は10分くらいで回れるはずなのに。

 それで、ガチでやばいんじゃないかって大騒ぎになった。時間は確か9時くらいだったかもしれない。ガキどもの腹も限界だった。

 周りが田んぼばかりの農道だったから用水路に落ちたんじゃねぇかって近隣住民から駐在さんまで大規模捜索が始まった。
 駐在さんが本署に連絡して応援を呼ぶからと言って無線で連絡していた。
 あっという間にパトカーが何台も来て周辺を探し始めた。

 我々子供はとりあえず会場の農協倉庫前の空き地で呑気に焼きそばを食っていた。そしたら一緒に回ってた二つ下の子が「〇〇達(居なくなった奴ら)の前に誰かいたよね」って話し始めた。

 最後尾だったその子は後にスタートした組を遠目にだけど振り返って見ていたらしい。そしたら大人みたいな人が先頭にいて、彼らはその人について行ってルートを外れたんだと。農道を外れた先は雑木林で、その雑木林の中にはお不動さまと呼んでいる小さな寺があった。
 年長の子が「お前それやばいじゃん」って誰かに言いに行こうとした時。

「お前ら何で先に焼そば食ってんだよ!」

 とガチギレした三人がいきなり現れた。何故かずぶ濡れで服のままプールに入ったのかと言うくらい。お前ら何で濡れてんのって聞いたら「すげー雨が降って来てお不動様で雨宿りした」と。その日はめちゃくちゃ暑くて、雨なんか一ミリも降って無かった。

 彼らによればスタートしてすぐ土砂降りの雨が降って来て、うさぎのお面を被った大人がこっちで雨宿りしよう!と誘導してくれたらしい。怪しさ爆発だが、子ども会の親だと思ったんだと。
 で、お不動様の軒下で雨宿りしてたら、誰もいないはずの本堂から老人の咳みたいなのが聞こえてその咳がやばい酷い感じになって来たから怖くて逃げて来たと。

 バカだから何で救急車呼んであげないんだよ!とか皆で言った気がする。で、捜索隊が帰って来てまた大騒ぎ。一体何処にいた!?って親達もブチ切れるし彼らは焼きそばが無いってブチ切れるし、ウチらはアイスを食いながらそれを見ていた

 結局、まあ無事で良かったて事でお開きになった。うさぎ面の大人は変質者だろうって事でまた騒ぎになったが、警察がいくら探しても見つからなかった。

 本堂の謎の咳もなんなのかは解らず仕舞いでイベントは終わった。


 そのままずっと忘れていたんだけど何で今更思い出したのかって?
 最近久しぶりに父から電話があったんですよ。

 あのお不動様を老朽化で取り壊すってんで、父含め何人かで取り壊しに行ったんだってさ。そしたら本堂の床下に身元不明のお骨が骨壷に入れられて放置されてたって言うじゃないですか。警察も焼かれてるからいつ死んだかも死因も解らずと言う事でお手上げ。

 その謎の骨壷がいつからあるのかもわからないけど、劣化具合から10年以上は経ってるとの事。
 と言う感じでウン十年前の夏の出来事を思い出して書き散らしたって訳。

 ちなみに骨壷に入ったお骨は『拾得物』になってしまうらしい。

 お粗末。