完璧美貌な女装公子は、夜だけ猛獣へと豹変する~顔面凶器な女装公子の秘密を握ったら、知恵も身も心もまるごとお買い上げされました~

 私は、報告書を皇后の眼前に掲げた。
 そこには、現代日本を生きる者のみならず、一目で中抜きが分かるグラフや比較表がびっしり書き込まれ視覚化されているため、ある程度の読み書きを知る者ならば理解できるはずだ。

「な……これ、は……!?」

 皇后の手が震える。
 さらに、追い打ちをかけるように凛星様が立ち上がった。

「私の母国も、この事実には驚いていますわ。私への贈り物という名目で、これほど多額の金が『消えていた』なんて。……これは、我が国への侮辱ではありませんか?」

 隣国の公主による、鋭い外交的圧力。
 皇后と丞相は、もはや言い逃れのできない袋の小路へと追い詰められた。

「……おのれ、薔薇姫! 貴様が裏で糸を引いたか!」

 丞相が莉鷹様を指差した。その時——。

「——貴様に指を差される筋合いはない」

 薔薇姫が、ゆっくりと立ち上がった。
 発せられたのは、地を這うような、本物男の声だった。

 その場にいた全員が、絶世の美女から放たれた皇帝の血筋特有の、圧倒的な威圧感に平伏した。

「皇后。そして丞相。……お前たちの『おままごと』は、ここで終わりだ。東宮は、もはやお前たちの操り人形ではない。そして——」

 莉鷹様は、私の肩を力強く抱き寄せ、皆の前で宣言した。

「この櫻花が導き出した『真実』こそが、これからのこの国の正義だ。……連れて行け」