「……母上。僕は、感謝などできません」
静かな、けれど通る声。宴の喧騒が、水を打ったように静まり返った。
皇后の顔が、驚愕と怒りで引き攣る。
「どうされたのです、東宮!」
「僕は知りました。僕の儀式のために、薬草園の予算が削られたり、洗濯場の女官たちが凍える手で働かされていることを。……そして、その消えた金が、どこへ流れているのかも」
東宮様が、私に合図を送る。
私は深く一礼し、莉鷹様から託された『最終回答』——私が夜通しで作成した、現代的な複式簿記を用いた『後宮収支完全監査報告書』を高く掲げた。
「無礼者! 下女が何を!」
丞相が怒号を飛ばすが、私は怯まない。
莉鷹様が私の背後に立ち、その圧倒的な覇気で私を護っているのが分かったから。
「恐れながら、丞相閣下。この報告書には、この三年間で後宮から貴方の私邸へと『還流』した、国家予算一割に相当する金の流れがすべて記載されています。……数字は、嘘を吐きませんよ」
静かな、けれど通る声。宴の喧騒が、水を打ったように静まり返った。
皇后の顔が、驚愕と怒りで引き攣る。
「どうされたのです、東宮!」
「僕は知りました。僕の儀式のために、薬草園の予算が削られたり、洗濯場の女官たちが凍える手で働かされていることを。……そして、その消えた金が、どこへ流れているのかも」
東宮様が、私に合図を送る。
私は深く一礼し、莉鷹様から託された『最終回答』——私が夜通しで作成した、現代的な複式簿記を用いた『後宮収支完全監査報告書』を高く掲げた。
「無礼者! 下女が何を!」
丞相が怒号を飛ばすが、私は怯まない。
莉鷹様が私の背後に立ち、その圧倒的な覇気で私を護っているのが分かったから。
「恐れながら、丞相閣下。この報告書には、この三年間で後宮から貴方の私邸へと『還流』した、国家予算一割に相当する金の流れがすべて記載されています。……数字は、嘘を吐きませんよ」

