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 皇后が主催する観蓮の宴が、薔薇姫様、もとい莉鷹様が指定した舞台だった。

 池を埋め尽くす蓮の花を背に、皇后とその父である丞相が、並んで上座に座っている。
 本来、男である丞相が後宮の奥深くまで入ることは禁忌だが、病の皇帝に代わって、政務の相談という名目で、彼は我が物顔で居座っている。

「……見てなさい、櫻花。今日、この後宮の『腐った天井』が抜けるのを」

 私の隣で、完璧な淑女——薔薇姫を演じる莉鷹様が、扇の陰で低く囁いた。
 その瞳は、獲物を追い詰めた猛獣の冷徹な光を放っている。

 宴が最高潮に達した時、上座の皇后が満足げに口を開いた。

「東宮妃、凛星の入内、そして東宮の次期儀式。すべて滞りなく進んでいるわ。これも丞相の尽力のおかげ。……東宮、貴方も感謝しなさい」

 促された十歳の東宮様が、ゆっくりと立ち上がった。
 その小さな肩は微かに震えていたけれど、その瞳には、理不尽に立ち向かう勇気が宿っていた。