午後の作業中も、薔薇姫様もとい莉鷹様の監視は続いた。
私が少しでも筆を置いて首を回せば、即座に背後に立ち、肩を揉み始める。
……いや、揉むというより、首筋の痕を確認しているだけのような気もするけど。
「……櫻花、お前。さっき、薬草園の庭師のジジイと笑い合っていただろう」
「え? ああ、おじいさんの腰が良くなったって聞いたので」
「二度と笑いかけるな。お前の笑顔の『買取価格』は、他の誰にも払えないほど高く設定しているはずだ」
……独占欲が、斜め上の方向に突き抜けている。
私は呆れ果てて、近くを通りかかった琥珀さんに助けを求める視線を送った。
琥珀さんは、空を見上げて呟いた。
「……源内。明日から、主人様の部屋の前に『猛獣注意』って看板、出してもいいかな?」
「……許可する。あと『餌を与えないでください』も追加しろ。……共食いされる」
月宵宮の平和は、莉鷹様の加速する過保護によって、今日も激しく脅かされている。
私は「残業代、これ精神的苦痛分だけで城が建つな」と確信しながら、主の腕の中から逃げ出すのを諦めた。
私が少しでも筆を置いて首を回せば、即座に背後に立ち、肩を揉み始める。
……いや、揉むというより、首筋の痕を確認しているだけのような気もするけど。
「……櫻花、お前。さっき、薬草園の庭師のジジイと笑い合っていただろう」
「え? ああ、おじいさんの腰が良くなったって聞いたので」
「二度と笑いかけるな。お前の笑顔の『買取価格』は、他の誰にも払えないほど高く設定しているはずだ」
……独占欲が、斜め上の方向に突き抜けている。
私は呆れ果てて、近くを通りかかった琥珀さんに助けを求める視線を送った。
琥珀さんは、空を見上げて呟いた。
「……源内。明日から、主人様の部屋の前に『猛獣注意』って看板、出してもいいかな?」
「……許可する。あと『餌を与えないでください』も追加しろ。……共食いされる」
月宵宮の平和は、莉鷹様の加速する過保護によって、今日も激しく脅かされている。
私は「残業代、これ精神的苦痛分だけで城が建つな」と確信しながら、主の腕の中から逃げ出すのを諦めた。

