完璧美貌な女装公子は、夜だけ猛獣へと豹変する~顔面凶器な女装公子の秘密を握ったら、知恵も身も心もまるごとお買い上げされました~

 お昼時の月宵宮の食卓には、下女の食事とは思えない豪華な皿が並んでいた。
 フカヒレ、ツバメの巣、最高級の干し肉。

「……この量、食べるんですか? 毒見分は小皿でいいかと……」

「当然だ。昨夜、お前は随分と体力を消耗したからな。しっかり食え。いや……私が食べさせてやろう」

「結構です! 手は動きますから!」

 莉鷹様は、私が箸を持つ手をじっと見つめている。

 ……視線が重い。食べづらい。
 ふと視線を上げると、部屋の隅で控えている琥珀が、指で目を覆っていた。

「……源内、あれはもう櫻花しか見えてないよ。あの冷徹な『後宮の掃除屋』はどこへ行ったんだろうね」

「……見たくない。あの方は、執着の対象を間違えたのではないか。……いや、あながち間違っていないのが一番恐ろしい」

 二人のヒソヒソ声が、バッチリ聞こえてくる。
 当の莉鷹様は、彼らの視線など一顧だにせず、私の口元に最高級の果実を運んでくる。

「櫻花、これは南方の特産だ。甘いぞ」

「……あー、もう。護衛のお二人、本気で引いてますよ」

「引かせておけ。私の宮で私が何を愛でようと、文句は言わせん」

 その美貌で堂々と開き直られると、こちらが折れるしかないのが悔しい。