莉鷹様は、私の口に一切れの果実を放り込むと、一瞬で策士の顔に戻った。
「櫻花。お前が昨日子供たちに見せた、あの『中抜き予算』の数字。あれを、公式な監査資料としてまとめ直せ。……近日中に、朝廷で大きな動きがある」
「……丞相様を、引きずり下ろすんですね?」
「ああ。奴の横領の証拠を、東宮自らが皇后に突きつける。そのための『毒』をお前が作るんだ」
莉鷹様は私の頬をひと撫でし、最後にもう一度、深い口づけを落とした。
「知恵も、身も、心も——。お前のすべてを、私が有効活用してやる。……逃げる隙など、死ぬまで与えんぞ」
その言葉は、呪いのようでもあり、至高の愛の誓いのよう。
私は痛む腰をさすりながら、心の中で「やっぱりこの人、ブラック上司より質が悪い」と毒づき、けれど不思議と悪くない気分で、新しい計算書の作成に取り掛かりはじめた。
「櫻花。お前が昨日子供たちに見せた、あの『中抜き予算』の数字。あれを、公式な監査資料としてまとめ直せ。……近日中に、朝廷で大きな動きがある」
「……丞相様を、引きずり下ろすんですね?」
「ああ。奴の横領の証拠を、東宮自らが皇后に突きつける。そのための『毒』をお前が作るんだ」
莉鷹様は私の頬をひと撫でし、最後にもう一度、深い口づけを落とした。
「知恵も、身も、心も——。お前のすべてを、私が有効活用してやる。……逃げる隙など、死ぬまで与えんぞ」
その言葉は、呪いのようでもあり、至高の愛の誓いのよう。
私は痛む腰をさすりながら、心の中で「やっぱりこの人、ブラック上司より質が悪い」と毒づき、けれど不思議と悪くない気分で、新しい計算書の作成に取り掛かりはじめた。

