完璧美貌な女装公子は、夜だけ猛獣へと豹変する~顔面凶器な女装公子の秘密を握ったら、知恵も身も心もまるごとお買い上げされました~

「熱はないな。……だが、今日は無理をさせるつもりはない。お茶会の後始末は琥珀たちにやらせる。お前はここで、私の側で休んでいろ」

 その声には、昨夜の苛烈な独占欲とは違う、どこか過保護で甘い響きがあった。
 莉鷹様は、私の首筋に残る紅い痕を指先で愛おしそうになぞる。

「……私の所有物に、他人が触れるのは不快だ。今日からは、お前の持ち場を私の寝所の整理と、私の毒味だけに限定する。他の下女との接触も最小限にしろ」

「それ、ただの監禁……ですよね? 私、一応『仕事』をしに来たんですけど」

「私の側にいるのが、お前の最大の仕事だと言ったはずだ。……それとも、まだ自分の価値が分かっていないのか?」

 莉鷹様の顔が近づく。
 昨日までの圧倒的な美しさを誇る後宮の薔薇姫ではなく、私を買い取った執着心の強い一人の男の瞳。
 
 顔面凶器。
 近くで見ると、その破壊的なまでの美貌に、私のドライな理性はあっけなく白旗を上げる。
 
(あー……ダメだ。この人、甘やかし方も極端すぎる)