完璧美貌な女装公子は、夜だけ猛獣へと豹変する~顔面凶器な女装公子の秘密を握ったら、知恵も身も心もまるごとお買い上げされました~

「……あ。莉鷹様、痛い、です」

「痛覚があった方が、誰に飼われているか忘れないだろう? 今日、あの子たちに良い顔をした分……ここで、しっかりと『特別精算』をしてもらおうか」

 莉鷹様の手が、私の襟元を緩め、隠していた鎖骨のあたりへと滑り落ちる。
 わざと、肌を擦るような、粘着質で情熱的な愛撫。
 
 昨夜の『襲われかけ』をさらに超える、逃げ場のない体勢。
 私の思考は、ホワイト企業の労働条件を必死に検索しようとするが、目の前の美貌と、押し付けられる男の体温に、どんどん溶かされていく。

「……返事は? 櫻花」

 逃げられない。
 最初から、この猛獣の檻に閉じ込められていたのだ。

 私は彼の胸板に手を置き、最後の抗いとして、精一杯の皮肉を込めて囁いた。

「……残業代、本当に……破格にしてくれないと、割に合いませんよ」

「ああ、望むだけくれてやる。……今夜は、一睡もさせないからな」

 莉鷹様の唇が、今度は逃がさないと言わんばかりに、私の唇を力強く塞いだ。
 
 後宮再建のプロジェクトは、まだ始まったばかり。

 けれど、私の心身の所有権は、すでにこの美しき猛獣によって、完全に決済されてしまったらしい。