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 真っ直ぐな瞳に見据えられ、私は覚悟を決めた。
 莉鷹様は「監視してこい」と言ったけれど、私の直感は、この二人を「守られるだけのガキ」として扱うのは効率が悪いと告げている。

「莉鷹様が望んでいるのは、後宮のリストラ……いえ『解体』です。そして、東宮様が一人で立てるようになるまでの『お掃除』ですね」

「お掃除……?」

「はい。今のままでは、東宮様が即位しても、丞相一族の操り人形……いわゆる『名ばかり帝』になるだけです。だから、今のうちに膿を出し切り、不当な横領や重税を止める。それが、あの方のやり方です」

 私は懐から、莉鷹様には内緒で持ってきた、中抜き予算の分析メモ、をそっと広げた。

「見てください。この数字。お二人がお菓子を我慢しても、大人たちがこれだけ無駄遣いをしていたら意味がありません。……私、こういう不条理な計算式、一番嫌いなんです」

 私のドライな説明に、二人は身を乗り出してメモを覗き込んだ。

「……すごい。母上の侍従が言っていた数字と全然違うわ。これ、全部嘘だったの?」

「僕たちが……僕たちが力を合わせれば、あの怖い大人たちを黙らせられる?」

 東宮様の瞳に、小さな火が灯った。
 凛星様は不敵に口角を上げると、私の手を取った。

「いいわ。薔薇姫に伝えなさい。私とこのおねしょ太子を『子供』扱いしないなら、協力してあげてもいいって」