■翌日 ― 都内・モデル事務所
翌朝。
空気は昨日までの温泉地とはまるで違っていた。
高層ビルが並ぶ都内の一角。
ガラス張りの近代的な建物の前で、和春の車がゆっくり止まる。
エントランスには大きなロゴ。
モデル事務所の名前。
人の出入りも多く、華やかな空気が漂っていた。
和春はエンジンを切る。
「ここか」
愛華がタブレットを確認する。
「はい」
「アリシアさんの所属事務所です」
車を降りる。
ガラス扉をくぐると、冷たい空調の空気と共に、洗練された空間が広がる。
白を基調とした内装。
壁には大きなポスター。
雑誌の表紙を飾るモデルたち。
その中に――
アリシアの姿もあった。
金髪ロングに虹色のメッシュ。
緑の瞳と、片目だけ虹色に見える印象的な瞳。
愛華が小さく言う。
「……やっぱり目立ちますね」
和春は一瞬だけ見て、すぐに視線を外す。
「そうか?」
愛華は少し呆れる。
「普通の人は見ます」
受付へ向かう。
スタッフが丁寧に頭を下げる。
「いらっしゃいませ」
愛華が名乗る。
「Boundary & Mindの天城愛華です」
「本日はご予約しております」
スタッフの表情が変わる。
「あ、はい!お待ちしておりました」
すぐに内線で連絡を取る。
「ただいまご案内いたします」
二人はソファへ案内される。
周囲にはモデルらしき女性たち。
スタイルの良い人間ばかりだ。
撮影の準備をしている者。
打ち合わせをしている者。
華やかだが、どこか張り詰めた空気もある。
和春は周囲を見渡す。
一言。
「構造は同じだな」
愛華が聞く。
「何がですか?」
和春が言う。
「商品が人間なだけ」
愛華は少し笑う。
「確かに」
少しして。
奥の通路から、見慣れた姿が歩いてくる。
天王寺アリシア。
前に会ったときと違い、今日はオフではない。
シンプルだが洗練された服装。
モデルらしい立ち姿。
だが――
表情は少し柔らかかった。
二人に気づくと、少し足早に近づいてくる。
「和春さん、愛華さん」
軽く頭を下げる。
「来ていただいてありがとうございます」
愛華が微笑む。
「こちらこそ」
和春は短く言う。
「話を聞きに来ただけだ」
アリシアは少し嬉しそうに笑う。
「それでも十分です」
そして少しだけ距離を詰めて言う。
「社長もお待ちしています」
そのまま案内するように振り返る。
「こちらです」
二人は立ち上がり、その後を歩く。
ガラス張りの廊下。
奥にある重厚な扉。
アリシアが軽くノックする。
「社長」
「神代さんをお連れしました」
中から声がする。
「どうぞ」
扉が開く。
次の瞬間――
また新しい仕事の空気に変わる。
和春と愛華は、迷いなく中へ入った。
翌朝。
空気は昨日までの温泉地とはまるで違っていた。
高層ビルが並ぶ都内の一角。
ガラス張りの近代的な建物の前で、和春の車がゆっくり止まる。
エントランスには大きなロゴ。
モデル事務所の名前。
人の出入りも多く、華やかな空気が漂っていた。
和春はエンジンを切る。
「ここか」
愛華がタブレットを確認する。
「はい」
「アリシアさんの所属事務所です」
車を降りる。
ガラス扉をくぐると、冷たい空調の空気と共に、洗練された空間が広がる。
白を基調とした内装。
壁には大きなポスター。
雑誌の表紙を飾るモデルたち。
その中に――
アリシアの姿もあった。
金髪ロングに虹色のメッシュ。
緑の瞳と、片目だけ虹色に見える印象的な瞳。
愛華が小さく言う。
「……やっぱり目立ちますね」
和春は一瞬だけ見て、すぐに視線を外す。
「そうか?」
愛華は少し呆れる。
「普通の人は見ます」
受付へ向かう。
スタッフが丁寧に頭を下げる。
「いらっしゃいませ」
愛華が名乗る。
「Boundary & Mindの天城愛華です」
「本日はご予約しております」
スタッフの表情が変わる。
「あ、はい!お待ちしておりました」
すぐに内線で連絡を取る。
「ただいまご案内いたします」
二人はソファへ案内される。
周囲にはモデルらしき女性たち。
スタイルの良い人間ばかりだ。
撮影の準備をしている者。
打ち合わせをしている者。
華やかだが、どこか張り詰めた空気もある。
和春は周囲を見渡す。
一言。
「構造は同じだな」
愛華が聞く。
「何がですか?」
和春が言う。
「商品が人間なだけ」
愛華は少し笑う。
「確かに」
少しして。
奥の通路から、見慣れた姿が歩いてくる。
天王寺アリシア。
前に会ったときと違い、今日はオフではない。
シンプルだが洗練された服装。
モデルらしい立ち姿。
だが――
表情は少し柔らかかった。
二人に気づくと、少し足早に近づいてくる。
「和春さん、愛華さん」
軽く頭を下げる。
「来ていただいてありがとうございます」
愛華が微笑む。
「こちらこそ」
和春は短く言う。
「話を聞きに来ただけだ」
アリシアは少し嬉しそうに笑う。
「それでも十分です」
そして少しだけ距離を詰めて言う。
「社長もお待ちしています」
そのまま案内するように振り返る。
「こちらです」
二人は立ち上がり、その後を歩く。
ガラス張りの廊下。
奥にある重厚な扉。
アリシアが軽くノックする。
「社長」
「神代さんをお連れしました」
中から声がする。
「どうぞ」
扉が開く。
次の瞬間――
また新しい仕事の空気に変わる。
和春と愛華は、迷いなく中へ入った。

