ずっと、いっしょ。

放課後、校門の前で待っていたのは宮野と俺だけだった。

「佐伯は?」
「部活だって」
「そっか」

 そこへ、ゆっくり歩いてくる影。

「来るんだ」

 宮野が笑う。
 タツキは肩をすくめた。

「暇だった」
「はいはい」

 三人で駅へ向かう。
 三人。
 その響きに、胸がほんの少しだけざわつく。
 でも、さっきみたいな重さはない。
 ただの人数だ。

「音ゲーな」
「キョウが最初な」
「なんでだよ」

 いつもの流れ。
 駅前のゲーセンは今日も騒がしい。
 冷房が強くて、外との温度差にくらっとする。
 三人でゲーム機を囲む。
 宮野が横から茶化して、タツキは少し後ろから見ている。
 その位置が、なんとなく決まっている。

「下手」
「うるさい」
「キョウもっとリズム取れよ」

 笑い声。
 何度か交代して、最後はタツキがやる。
 俺と宮野は並んで見る。
 タツキは無駄がない。

「やっぱうま」
「ずる」

 振り返ったとき、目が合う。

「何」
「いや」

 宮野がにやっとする。

「キョウ、顔」
「何だよ」
「いや別に」

 意味深に笑われる。
 そのあと、プリクラを撮ることになった。

「三人って微妙だよな、配置」
「狭いし」

 中に入ると、自然と俺は真ん中に立っていた。
 左に宮野、右にタツキ。

「キョウ真ん中固定な」
「なんでだよ」
「バランス」

 カウントダウンが始まる。
 三。
 二。
 一。
 フラッシュ。
 一瞬、白くなる。
 それだけ。
 何も起きない。
 はずだった。
 出来上がった画像を確認する。

「盛れすぎ」
「誰だよこれ」

 三人が笑っている。
 ちゃんと三人。
 でも。
 ほんの一瞬だけ。
 背景の端に、白い縦線みたいなものが見えた気がした。

「……」

 目を凝らす。

「どうした?」
「いや、なんでもない」

 もう何もない。
 光の反射だろう。

「キョウ自意識過剰かよ」
「うるさい」

 笑いながらシールを分ける。
 三等分。
 三人。
 普通だ。
 ゲーセンを出て、コンビニに寄る。
 三人でアイスを食べながら歩く。

「夏終わるな」
「まだ暑いけど」
「キョウ溶けてる」
「お前のせい」

 何でもない会話。
 日が少し傾いて、影が長くなる。
 歩道に、三つの影が並ぶ。
 俺は無意識に、それを数えた。
 一。
 二。
 三。
 ――。
 足を止める。

「どうした?」
「いや」

 影は、三つしかない。
 当たり前だ。
 三人なんだから。
 なのに、なぜか。
 四つ目を探している自分がいた。

「キョウ今日変だぞ」

 宮野が笑う。

「寝不足?」
「かも」

 歩き出す。
 隣にタツキがいる。
 いつもの距離。
 何もおかしくない。
 それでも、胸の奥で小さな違和感が沈まない。
 三人。
 それで、足りているはずなのに。