放課後
西日が廊下を染めている。
窓から差す光が、床に長い影を落とす。
タツキが少し前を歩いている。
その背中を見ていると、急に。
視界がぶれる。
音が消える。
夕焼け。
強すぎる赤。
稲の海。
風はない。
でも、揺れている。
白い。
細く、長い。
規則性のない動き。
笑い声。
三人分。
「なあ、やめろって」
自分の声。
若い。
もっと幼い。
振り向く。
そこに——
顔がある。
見慣れたはずの。
でも、今はもういない顔。
口が動く。
「大丈夫だって」
その後ろ。
白い揺れが、近い。
近すぎる。
誰かが叫ぶ。
名前。
何度も。
「——キョウ!!」
強い衝撃。
水音。
冷たい。
沈む。
掴む。
手。
離れる。
そこで、現在に引き戻される。
階段の途中。
膝が震えている。
タツキが振り返る。
「どうした?」
その声。
一瞬、二重に聞こえる。
「……今」
喉がひりつく。
はっきり見た。
三人だった。
俺と、タツキと。
もう一人。
「思い出した?」
柔らかい声。
でも、目が笑っていない。
「……誰か」
そこまで言って、頭が痛む。
視界の端で、影がぶれる。
白い揺れが、階段の踊り場に立っている。
一瞬。
瞬き。
消える。
「気のせいだよ」
タツキが近づく。
距離が近い。
昔より近い。
指が頬に触れる。
冷たい。
「考えすぎ」
その言葉が、じわりと染み込む。
さっき見た光景が、急速に薄れる。
夕焼け
水
叫び声
全部
霧の向こうへ。
「……そうかも」
自分の声が、遠い。
でも。
胸の奥だけが、熱い。
忘れてはいけない、と。
小さく。
確実に。
何かが、残った。
西日が廊下を染めている。
窓から差す光が、床に長い影を落とす。
タツキが少し前を歩いている。
その背中を見ていると、急に。
視界がぶれる。
音が消える。
夕焼け。
強すぎる赤。
稲の海。
風はない。
でも、揺れている。
白い。
細く、長い。
規則性のない動き。
笑い声。
三人分。
「なあ、やめろって」
自分の声。
若い。
もっと幼い。
振り向く。
そこに——
顔がある。
見慣れたはずの。
でも、今はもういない顔。
口が動く。
「大丈夫だって」
その後ろ。
白い揺れが、近い。
近すぎる。
誰かが叫ぶ。
名前。
何度も。
「——キョウ!!」
強い衝撃。
水音。
冷たい。
沈む。
掴む。
手。
離れる。
そこで、現在に引き戻される。
階段の途中。
膝が震えている。
タツキが振り返る。
「どうした?」
その声。
一瞬、二重に聞こえる。
「……今」
喉がひりつく。
はっきり見た。
三人だった。
俺と、タツキと。
もう一人。
「思い出した?」
柔らかい声。
でも、目が笑っていない。
「……誰か」
そこまで言って、頭が痛む。
視界の端で、影がぶれる。
白い揺れが、階段の踊り場に立っている。
一瞬。
瞬き。
消える。
「気のせいだよ」
タツキが近づく。
距離が近い。
昔より近い。
指が頬に触れる。
冷たい。
「考えすぎ」
その言葉が、じわりと染み込む。
さっき見た光景が、急速に薄れる。
夕焼け
水
叫び声
全部
霧の向こうへ。
「……そうかも」
自分の声が、遠い。
でも。
胸の奥だけが、熱い。
忘れてはいけない、と。
小さく。
確実に。
何かが、残った。
