ずっと、いっしょ。

キョウは、すぐ顔に出る。
怖がってる。
でも、離れない。
ちゃんと握り返してくる。
それでいい。
目を閉じたふりをして、呼吸を整える。
機械みたいだと言われたら困るな。
少し不自然だったか。
でも、まだ大丈夫。
キョウは逃げない。
逃げられない。
いや。
逃げないことを選んでいる。
それが嬉しい。
静かに、まぶたを開ける。
キョウはもう寝ている。
安心しきった顔。
昔と同じだ。
何も知らなかった頃の顔。
……いや
少し違う。
もう、薄く染まっている。
白に。
ゆっくりと体を起こす。
音を立てないように。
キョウの寝顔を覗き込む。
近い。
こんなに近い。
やっと、ここまで来た。
邪魔はいない。
余計な視線もない。
二人だけ。
指先で、頬に触れる。
あたたかい。
ちゃんと生きている。
消えない。
消さない。
唇を寄せる。
そっと。
唇に。
一瞬、迷う。
でも、やめない。
約束だから。

「ずっと、いっしょ。」

囁く
キョウは目を覚まさない。
寝息は穏やかだ。
安心したように、少しだけ笑う。
それを見て、胸の奥が満たされる。
憎しみは、まだ残っている。
消えない。
でもこの瞬間だけは、静かだ。
ゆっくり横に戻る。
キョウの手を握る。
強くなりすぎないように。
今は、まだ。
全部は、まだ。
目を閉じる。
夢の底で、白いものが揺れる。
でも、怖くない。
もうすぐ。
完全になる。