祖母の葬儀から三日後。
教室はいつも通りだった。
キョウのクラス。
タツキは隣のクラスだ。
それだけの違いなのに、
距離が少しある。
昼休み。
「最近さ」
宮野が机に肘をつく。
短い髪。
少しだけ鋭い目。
「お前、タツキと一緒に帰ってるよな」
「うん」
「毎日?」
「だいたい」
宮野はじっと見る。
探るように。
「依存じゃね?」
冗談っぽく笑う。
キョウも笑い返す。
「違うって」
でも、少しだけ胸が引っかかる。
「おばぁさん亡くなったんだろ」
宮野の声が落ちる。
「……うん」
「それはきついよな」
珍しく真面目な顔。
「でもさ」
間。
「今は離れたほうがいいときもあるぞ」
キョウは眉を寄せる。
「誰と?」
「タツキ」
即答。
教室のざわめきが遠くなる。
「なんで」
「なんか、変だ」
言葉を探すように天井を見る。
「お前の後ろ見てる感じ、たまにある」
喉がひりつく。
祖母の声がよみがえる。
――後ろ、見るな。
「気のせいだろ」
少し強く言ってしまう。
宮野は肩をすくめる。
「ならいいけど」
立ち上がる。
「俺は嫌な予感しかしねえ」
それだけ言って、購買へ向かう。
キョウは一人、席に残る。
後ろ。
振り返らない。
振り返らない。
放課後。
昇降口でタツキが待っている。
壁にもたれている姿は、昔と変わらない。
「宮野と話してたな」
唐突だ。
「……見てたの?」
「たまたま」
笑う。
でも、目が笑っていない。
「何話してた?」
軽い口調。
軽いはずなのに。
「別に」
「俺のこと?」
沈黙。
一秒。
それだけで十分だった。
タツキの指先が、わずかに動く。
「ふーん」
それ以上は聞かない。
でも。
帰り道、距離がやけに近い。
腕が触れる。
離れない。
田んぼは静かだ。
風はない。
なのに。
視界の端で、白いものが揺れた気がする。
宮野の言葉が、頭の奥で反響する。
“離れたほうがいいときもある”
キョウは首を振る。
そんなわけない。
俺たちは――
教室はいつも通りだった。
キョウのクラス。
タツキは隣のクラスだ。
それだけの違いなのに、
距離が少しある。
昼休み。
「最近さ」
宮野が机に肘をつく。
短い髪。
少しだけ鋭い目。
「お前、タツキと一緒に帰ってるよな」
「うん」
「毎日?」
「だいたい」
宮野はじっと見る。
探るように。
「依存じゃね?」
冗談っぽく笑う。
キョウも笑い返す。
「違うって」
でも、少しだけ胸が引っかかる。
「おばぁさん亡くなったんだろ」
宮野の声が落ちる。
「……うん」
「それはきついよな」
珍しく真面目な顔。
「でもさ」
間。
「今は離れたほうがいいときもあるぞ」
キョウは眉を寄せる。
「誰と?」
「タツキ」
即答。
教室のざわめきが遠くなる。
「なんで」
「なんか、変だ」
言葉を探すように天井を見る。
「お前の後ろ見てる感じ、たまにある」
喉がひりつく。
祖母の声がよみがえる。
――後ろ、見るな。
「気のせいだろ」
少し強く言ってしまう。
宮野は肩をすくめる。
「ならいいけど」
立ち上がる。
「俺は嫌な予感しかしねえ」
それだけ言って、購買へ向かう。
キョウは一人、席に残る。
後ろ。
振り返らない。
振り返らない。
放課後。
昇降口でタツキが待っている。
壁にもたれている姿は、昔と変わらない。
「宮野と話してたな」
唐突だ。
「……見てたの?」
「たまたま」
笑う。
でも、目が笑っていない。
「何話してた?」
軽い口調。
軽いはずなのに。
「別に」
「俺のこと?」
沈黙。
一秒。
それだけで十分だった。
タツキの指先が、わずかに動く。
「ふーん」
それ以上は聞かない。
でも。
帰り道、距離がやけに近い。
腕が触れる。
離れない。
田んぼは静かだ。
風はない。
なのに。
視界の端で、白いものが揺れた気がする。
宮野の言葉が、頭の奥で反響する。
“離れたほうがいいときもある”
キョウは首を振る。
そんなわけない。
俺たちは――
