「あの…柿沢くん?」
「はっ、はい!何でしょう?」
急な問い掛けにより変な受け答えになってしまった。
「えっと…後ろに居る方のお名前って何て言うのかな?」
「えっ!?風岡?」
「あっ、風岡さんって言うんだ。受験の日から可愛い子が居てるなぁって思って気になってて!風岡さん~!」
そう言って星空さんは風岡の側に歩み寄って行った。
「えっ?私?」
「うん。柿沢くんと何度か一緒に居るところを見たんだけど…せっかく同じクラスにもなれたんだし…良ければ私とお友達になってくれませんか?」
「べ、べつに良いけど…」
「ほ、ほんとう!やった!雪菜の名前はね――」
「星空雪菜さんだよね」
「あっ、私!また名前呼びしちゃった。嬉しくなっちゃうとつい名前呼びになっちゃって…幼い時からの癖が抜けないんだよ~」
「そっ、そうなんだ。でも可愛くて私は良いと思うけど」
「本当かな?子供っぽいから直したいんだけどね。あっ、良かったら私のIDなんだけど登録してもらえないかな?」
そう言って星空さんは風岡に連絡先が書いた紙を手渡した。
「ありがとう。それじゃあ私のも――」
星空さんは風岡と連絡先を交換して自分の席に戻って行った。
「星空さんって何か見た目よりも凄く明るい子だったね。この私が圧倒されるなんて」
「そうなんだよね。女子同士だといつもあんな感じなんだけど…」
「それじゃあ…男子が苦手って事なのかな?」
「話し掛けたら普通に話してはくれるんだけどね…」
「それより私が先に連絡先交換しちゃってどうするの?」
「やっぱり交換したんだ!俺に教えてくんない?」
「ダメ!私が人の連絡先を勝手に教える人だと思われたら嫌だもん。たとえ柿沢であっても教えられないね。知りたかったら早く自分で聞いてきなさい!早くしないと下校時間になっちゃうんだから……」
――そう風岡が言ったと思えば、あっという間に入学式が始まりいつの間にか下校時間になってしまっていた。
「ほら、みんな帰っちゃうよ。早く行きなよ」
俺は風岡に押されるようにして星空さんの席の前まで来ていた。
「柿沢くん…と風岡さん?どうしたの?」
「あのね、柿沢が星空さんに聞きたい事があるんだって。ちょっとだけ時間ってあるかな」
そう風岡が言ったと思ったら後は「頑張りなよ」と俺に言わんばかりの表情で立ち去った。
「柿沢くん私に聞きたいことって何かな?」
「あの…これ…俺のIDなんだけど…」
「あっ、書いてくれたんだ。それじゃあ――」
そう言って星空さんは、可愛らしい動物のキャラクターがたくさん描かれたメモ帳を取り出すと、そこに何かを書き始めた。
「はい。これ私のIDだよ。スケートの練習時間以外なら返せるからこっちでもよろしくお願いします」
「こ、こちらこそお願いします」
俺のぎこちなさのせいなのか口元に手を当ててクスクスと笑う星空さん。
「こうやって話すの久し振りだね。小学生以来かな?あっ、合格発表の時に少し話したよね」
「そうだね。あの時は話しが途中になってごめんね」
「ううん。全然大丈夫だよ。風岡さんを探してたんだもんね。あっ、良かったらこのまま一緒に帰るとかどうかな?」
「えっ?」
「私のところ今日家族来てないし。柿沢くんの都合がもし良かったら」
「も、もちろん大丈夫」
「良かった!それじゃあ風岡さんにも聞いてみるね」
「あっ、風岡にもね…」
――夕食後スマホから通知音が流れた。
「(うわっ遂に…)」
俺は恐る恐るとスマホに手を掛けた。
『ねぇ、今日あれからどうなったの?』
『何だ。風岡か?』
『何だとは何よ』
怒っているスタンプが流れてきた。
『私があれだけアシストしたんだからちゃんと話せたんでしょうね』
『まぁぎこちない割には上手くやれたと思う』
そう。あれから風岡は用事があるからと一緒には着いて来ることなく、俺と星空さんは2人で帰ることになった。
『そっか。それでちゃんと連絡先登録した?』
『まだ』
驚きのスタンプが来たと思ったらすぐに――
『あり得ないんですけどー?私とやり取りしてないで早く登録してスタンプの1つぐらい』
『いや、「今日はありがとう」ぐらい入れないと』
「(やり取りしてないでってそっちから連絡してきたのに…)」
『今から入れるよ』
そう言って『了解です』と言うスタンプを風岡に送った俺は、画面を切り替えてIDの入力を始めた。
「(よしっこれで!あっ…これってこのメモ帳のキャラクターだ。もしかして星空さんってこれが好きなのかな?)」
さっきもらったメモ帳に描かれていたキャラクターが星空さんのアイコンになっていた。
星空さんの好きなものを初めて知った瞬間だった。
そんな俺は、恐る恐る彼女のトーク画面を開き言葉を入れはじめる。
『今日はお疲れ様。
久しぶりに星空さんとゆっくりと話せて楽しかった。
これからもよろしくね』
俺はこの短文を考えるのに結局30分掛かってようやく送信に漕ぎ着けた。
すると…
すぐに通知音が鳴った。
『私も楽しかったよ(*^^*)
こちらこそこれからよろしくね!』
そしてメモ帳に描かれたキャラクターが「お願いします」と言っているスタンプが流れてきた。
これが…初めての彼女とのやり取りだった。
まさか…あの…金メダリストの星空雪菜と連絡のやり取りをする日が来るとは。
未来の自分いや、過去の自分になるのか分からないがとにかくこの事実を知らない俺に報告したい。
一緒に下校し連絡のやり取りも開始したのだと。
これも大きく後押ししてくれた風岡のお陰だ。
風岡は今の俺にとって本当に救世主であった。
俺は改めて風岡にお礼の連絡を入れて、この日はしばらくやり取りを続けるのであった。
「はっ、はい!何でしょう?」
急な問い掛けにより変な受け答えになってしまった。
「えっと…後ろに居る方のお名前って何て言うのかな?」
「えっ!?風岡?」
「あっ、風岡さんって言うんだ。受験の日から可愛い子が居てるなぁって思って気になってて!風岡さん~!」
そう言って星空さんは風岡の側に歩み寄って行った。
「えっ?私?」
「うん。柿沢くんと何度か一緒に居るところを見たんだけど…せっかく同じクラスにもなれたんだし…良ければ私とお友達になってくれませんか?」
「べ、べつに良いけど…」
「ほ、ほんとう!やった!雪菜の名前はね――」
「星空雪菜さんだよね」
「あっ、私!また名前呼びしちゃった。嬉しくなっちゃうとつい名前呼びになっちゃって…幼い時からの癖が抜けないんだよ~」
「そっ、そうなんだ。でも可愛くて私は良いと思うけど」
「本当かな?子供っぽいから直したいんだけどね。あっ、良かったら私のIDなんだけど登録してもらえないかな?」
そう言って星空さんは風岡に連絡先が書いた紙を手渡した。
「ありがとう。それじゃあ私のも――」
星空さんは風岡と連絡先を交換して自分の席に戻って行った。
「星空さんって何か見た目よりも凄く明るい子だったね。この私が圧倒されるなんて」
「そうなんだよね。女子同士だといつもあんな感じなんだけど…」
「それじゃあ…男子が苦手って事なのかな?」
「話し掛けたら普通に話してはくれるんだけどね…」
「それより私が先に連絡先交換しちゃってどうするの?」
「やっぱり交換したんだ!俺に教えてくんない?」
「ダメ!私が人の連絡先を勝手に教える人だと思われたら嫌だもん。たとえ柿沢であっても教えられないね。知りたかったら早く自分で聞いてきなさい!早くしないと下校時間になっちゃうんだから……」
――そう風岡が言ったと思えば、あっという間に入学式が始まりいつの間にか下校時間になってしまっていた。
「ほら、みんな帰っちゃうよ。早く行きなよ」
俺は風岡に押されるようにして星空さんの席の前まで来ていた。
「柿沢くん…と風岡さん?どうしたの?」
「あのね、柿沢が星空さんに聞きたい事があるんだって。ちょっとだけ時間ってあるかな」
そう風岡が言ったと思ったら後は「頑張りなよ」と俺に言わんばかりの表情で立ち去った。
「柿沢くん私に聞きたいことって何かな?」
「あの…これ…俺のIDなんだけど…」
「あっ、書いてくれたんだ。それじゃあ――」
そう言って星空さんは、可愛らしい動物のキャラクターがたくさん描かれたメモ帳を取り出すと、そこに何かを書き始めた。
「はい。これ私のIDだよ。スケートの練習時間以外なら返せるからこっちでもよろしくお願いします」
「こ、こちらこそお願いします」
俺のぎこちなさのせいなのか口元に手を当ててクスクスと笑う星空さん。
「こうやって話すの久し振りだね。小学生以来かな?あっ、合格発表の時に少し話したよね」
「そうだね。あの時は話しが途中になってごめんね」
「ううん。全然大丈夫だよ。風岡さんを探してたんだもんね。あっ、良かったらこのまま一緒に帰るとかどうかな?」
「えっ?」
「私のところ今日家族来てないし。柿沢くんの都合がもし良かったら」
「も、もちろん大丈夫」
「良かった!それじゃあ風岡さんにも聞いてみるね」
「あっ、風岡にもね…」
――夕食後スマホから通知音が流れた。
「(うわっ遂に…)」
俺は恐る恐るとスマホに手を掛けた。
『ねぇ、今日あれからどうなったの?』
『何だ。風岡か?』
『何だとは何よ』
怒っているスタンプが流れてきた。
『私があれだけアシストしたんだからちゃんと話せたんでしょうね』
『まぁぎこちない割には上手くやれたと思う』
そう。あれから風岡は用事があるからと一緒には着いて来ることなく、俺と星空さんは2人で帰ることになった。
『そっか。それでちゃんと連絡先登録した?』
『まだ』
驚きのスタンプが来たと思ったらすぐに――
『あり得ないんですけどー?私とやり取りしてないで早く登録してスタンプの1つぐらい』
『いや、「今日はありがとう」ぐらい入れないと』
「(やり取りしてないでってそっちから連絡してきたのに…)」
『今から入れるよ』
そう言って『了解です』と言うスタンプを風岡に送った俺は、画面を切り替えてIDの入力を始めた。
「(よしっこれで!あっ…これってこのメモ帳のキャラクターだ。もしかして星空さんってこれが好きなのかな?)」
さっきもらったメモ帳に描かれていたキャラクターが星空さんのアイコンになっていた。
星空さんの好きなものを初めて知った瞬間だった。
そんな俺は、恐る恐る彼女のトーク画面を開き言葉を入れはじめる。
『今日はお疲れ様。
久しぶりに星空さんとゆっくりと話せて楽しかった。
これからもよろしくね』
俺はこの短文を考えるのに結局30分掛かってようやく送信に漕ぎ着けた。
すると…
すぐに通知音が鳴った。
『私も楽しかったよ(*^^*)
こちらこそこれからよろしくね!』
そしてメモ帳に描かれたキャラクターが「お願いします」と言っているスタンプが流れてきた。
これが…初めての彼女とのやり取りだった。
まさか…あの…金メダリストの星空雪菜と連絡のやり取りをする日が来るとは。
未来の自分いや、過去の自分になるのか分からないがとにかくこの事実を知らない俺に報告したい。
一緒に下校し連絡のやり取りも開始したのだと。
これも大きく後押ししてくれた風岡のお陰だ。
風岡は今の俺にとって本当に救世主であった。
俺は改めて風岡にお礼の連絡を入れて、この日はしばらくやり取りを続けるのであった。
