ほほに何か、伝った。
冷たい、水滴のようなものを感じる。
閉じている瞳を開けば、目の前には自分の母親が映った。
「おいこら!いつまで寝てんだよ!あんたの姉ちゃんとこのお母さまがお腹すいてきたんだから早く支度しなよ鈍間!!」
腕に痛みを覚える。
どうやら殴られたみたいだ。
「・・・・」
ーあぁ、そうか。
私は生まれ変わったんだ。
このみすぼらしい人間は私の母親であり、
「遅いんだけど、クズ!」
ー私と似ているこのくそ生意気な人間は姉だ。
どうしようもない、こんな家族。
これで家族とは呼べることが不信でしかたがない。
アイル・・・・
かつてのアイルこと、魔女は今やその姿はなく、
今は普通の人間のようだ。
「・・・私がここまで落ちぶれていたとは・・・・」
アイルの次の名は、エルアド・ガットリュー。
「なんだいエル!その目は!」
「・・・・・」
長年の経験から、アイルは知っている。
この身体は長く持たないんだ。
寿命が尽きようとしているんだ。
生まれついてから決まっていること。
それは覆すことはできないだろう。
そう、アイルは悟るんだった。
