「そうだね」
「なんか今日ラッキーだったかも」
「、そうかな?」
……なんか、すごいやつだ。
初めて話したけど、笑顔でそんなことを言われるなんて思いもしなかった。
いつもクラスメイトに囲まれていて、人気者で、よくもてるって印象だったけど。これだけのこと言われたら勘違いする人もいそうだ。
プリントを手渡し、作業を続ける、けど。
「クラス変わって割と経つけどあんま絡む機会ないよなー」
「うん」
「てか、淺井くんって委員長だし忙しいもんな」
「そう見える?」
「見える見える、話しかけたら迷惑かと思って」
「そんなことないけど」
「じゃ、明日から話しかけていー?」
彼は器用に作業しながら次から次に話しかけてくる。
苦笑しながら頷くと彼は人好きの笑顔で、やったー、なんて喜んで。って、今日初めて話したはずなのに少し慣れてきた。
それは宮前くんが持つ雰囲気や言葉がそういう空気をつくっているからだ。
うん、やっぱり学級委員長は彼がふさわしいと思う。
「宮前くんでも迷惑とか思うんだ?」
「思うよ、てか宮前でいいよ。くん付けって慣れねーし」
「君もね」
静かだった室内に宮前くんーーー宮前と僕の話し声が響いて。
単調なホッチキスの音、紙が擦れる音、遠くで聞こえる部活生の声。みんなの中心にいて、噂の的で、人望があつい彼。
目を伏せて作業する彼を見る。
前髪はいつも無造作に真ん中で分けられていて。黒髪、きれいな二重の眼、高い鼻梁、薄い唇、健康的な肌のいろ。端正で華やかな顔立ち、だと思う。
この容姿に加えて砕けやすさや人懐っこさ、コミュニケーション能力があって、それは関心を集めるなというほうが難しい。
いつの間にか食い入るように見てしまっていたらしい。顔を上げた彼が眉を下げて微笑みを浮かべる。
「なんかついてるか?」
「……ごめん」

