あの海のそば、浴衣と君と花火と。

───最初から、わたし(淋果)の人生は私の物じゃなかった。

母はいつも、私を溺愛していた。

「淋果は可愛いくてお母さんの自慢!」

最初はもちろん嬉しくて堪らなかった。母を失望させないように、スキンケアだって、ヘアケアだって、毎日欠かさずにやった。
母に褒めてもらえるのが嬉しくて、幸せで。ただ母のためだけに、美貌を磨いた。
……でも、私の健康的な色をした肌だけは、何をしてもやっぱり白くはならなかった。
そんな、ある日だった。

「モデルオーディションに応募してみない?」