発端は、もう何十年も前のお盆休みの夢の話だ。
父の実家のある和歌山県に向かう途中、高速道路が渋滞しているとかで、短気な父が「下道を通って行こう」と言い出したのが、きっかけだった。
高速道路というものは、渋滞していても往々にして速く目的地に着く。
そして、慣れない下道は、カーナビもない時代だったから、当然迷う。
助手席に乗った母は地図に疎く、小学生だった私は、舗装の荒い田舎道に車酔いして、後部座席で車酔いしてのびていた。
短気な父が、道に迷ったことにイラついてタバコを吸ったのも、一因だと思う。
この時代は、副流煙に気をつけろだとか禁煙者マナーだとか、そんな有り難いモノはなくて、電車にすら灰皿が設置されていた時代だ。
当然、タバコを吸うのをやめてほしいと、イラつく父に言い出すこともできず、気分が悪く吐き気と戦いながら朦朧としていた。
そんな最悪な状態だったから、悪夢をみた。
夢の中、私は、神社にいた。
小さな神社、朱が剥げかけた小さな古い鳥居。
雑草が石畳の間から生えて、いかにも手入れが行き届いていない道を行けば、ボロいお社があった。
音は何も聞こえなかったと思う。
正直、覚えていない。
左を向くと、小学生だった私と同じくらいの背丈の腰の曲がった老婆が、白い着物姿で立っていた。
ああいう不気味な老婆って、ステレオタイプな何かがあるのかな?
杖をつき、長い髪はボサボサで、目がやたらギラギラして鋭かった。
……そういえば、足はあったかな? 履き物が何だったかまでは覚えていないや。
いや、たぶんあったと思う。だって、なかったらさすがに上半身だけだったとか、そんな印象だっただろうから。
ともかく、その老婆が、何も言わずに私を手招きしていたから、夢の中の私は深く考えずについていった。
老婆は、社の真裏に着くと、地面を指差した。
私には、なぜかそこを掘れと言われているのが分かって、手で掘った。
不思議なことに、小学生女子の手掘りなのに、土はみるみる掘り返えされる。(夢なので当然か?)
土の手触りは、深くなればなるほど硬く冷たくなっていき、一メートル近く掘った時に、ついに私は、目当てのものを掘り当てた。
剣だった。
長く土の中にあったそれは、柄も鞘も真っ白で、真っ直ぐだった。
当時流行っていたファンタジーゲームに出てくる西洋の剣よりも細く、レイピアよりは太い。
テレビ時代劇に出てくる刀みたいに反ってはいない真っ直ぐな不思議な剣。
何か神秘的な力を感じた。
穴の上では、あの老婆が歓喜して小躍りしていた。
今まで言葉を発しなかった老婆が「早く上がってきて、剣を寄越せ」と急かす。
どうしようかと、私は迷った。
だが、はっきりと……
ーーこれは、老婆には渡してはならないモノだ。
それだけは強く感じた。
続きが気になるところだが、そこは夢の話。
私は、起きてしまった。
老婆が剣を手に入れたかは、私は知らない。
所詮、夢の話。
でも、起きて初っ端に両親に言ったことは、きっと両親をゾッとさせたに違いない。
「この道を行った先に、小さな神社があるよ」
初めての道、後部座席に眠っていた小学生女子が起きて突然そんなことを言った時の両親の恐怖は、並ではなかったはずだ。
だって、本当にあったんだ。
小さな神社が。
父の実家のある和歌山県に向かう途中、高速道路が渋滞しているとかで、短気な父が「下道を通って行こう」と言い出したのが、きっかけだった。
高速道路というものは、渋滞していても往々にして速く目的地に着く。
そして、慣れない下道は、カーナビもない時代だったから、当然迷う。
助手席に乗った母は地図に疎く、小学生だった私は、舗装の荒い田舎道に車酔いして、後部座席で車酔いしてのびていた。
短気な父が、道に迷ったことにイラついてタバコを吸ったのも、一因だと思う。
この時代は、副流煙に気をつけろだとか禁煙者マナーだとか、そんな有り難いモノはなくて、電車にすら灰皿が設置されていた時代だ。
当然、タバコを吸うのをやめてほしいと、イラつく父に言い出すこともできず、気分が悪く吐き気と戦いながら朦朧としていた。
そんな最悪な状態だったから、悪夢をみた。
夢の中、私は、神社にいた。
小さな神社、朱が剥げかけた小さな古い鳥居。
雑草が石畳の間から生えて、いかにも手入れが行き届いていない道を行けば、ボロいお社があった。
音は何も聞こえなかったと思う。
正直、覚えていない。
左を向くと、小学生だった私と同じくらいの背丈の腰の曲がった老婆が、白い着物姿で立っていた。
ああいう不気味な老婆って、ステレオタイプな何かがあるのかな?
杖をつき、長い髪はボサボサで、目がやたらギラギラして鋭かった。
……そういえば、足はあったかな? 履き物が何だったかまでは覚えていないや。
いや、たぶんあったと思う。だって、なかったらさすがに上半身だけだったとか、そんな印象だっただろうから。
ともかく、その老婆が、何も言わずに私を手招きしていたから、夢の中の私は深く考えずについていった。
老婆は、社の真裏に着くと、地面を指差した。
私には、なぜかそこを掘れと言われているのが分かって、手で掘った。
不思議なことに、小学生女子の手掘りなのに、土はみるみる掘り返えされる。(夢なので当然か?)
土の手触りは、深くなればなるほど硬く冷たくなっていき、一メートル近く掘った時に、ついに私は、目当てのものを掘り当てた。
剣だった。
長く土の中にあったそれは、柄も鞘も真っ白で、真っ直ぐだった。
当時流行っていたファンタジーゲームに出てくる西洋の剣よりも細く、レイピアよりは太い。
テレビ時代劇に出てくる刀みたいに反ってはいない真っ直ぐな不思議な剣。
何か神秘的な力を感じた。
穴の上では、あの老婆が歓喜して小躍りしていた。
今まで言葉を発しなかった老婆が「早く上がってきて、剣を寄越せ」と急かす。
どうしようかと、私は迷った。
だが、はっきりと……
ーーこれは、老婆には渡してはならないモノだ。
それだけは強く感じた。
続きが気になるところだが、そこは夢の話。
私は、起きてしまった。
老婆が剣を手に入れたかは、私は知らない。
所詮、夢の話。
でも、起きて初っ端に両親に言ったことは、きっと両親をゾッとさせたに違いない。
「この道を行った先に、小さな神社があるよ」
初めての道、後部座席に眠っていた小学生女子が起きて突然そんなことを言った時の両親の恐怖は、並ではなかったはずだ。
だって、本当にあったんだ。
小さな神社が。

