灯之村発熱事件 記録集

【資料10-A】現地調査報告────

 調査者:本記録集編者
 日時:2025年12月15日
 場所:灯之村

 本記録集の作成にあたり、編者は灯之村を訪問した。

 村の入口では、看板が私たちを迎えた。「灯之村へようこそ」。その横には、「平均寿命日本一の長寿村」という文字が誇らしげに掲げられていた。

 駐車場で車を降りると、すぐに村人が近づいてきた。六十代くらいの女性だった。

 彼女は両手を差し出した。

 掌を上に向けて、じっと差し出す。

 私は動かずに見ていた。数秒後、彼女は満足そうに手を下ろし、微笑んで去っていった。

 村を歩くと、すれ違う人々が次々と同じ挨拶をしてきた。老人も、中年も、子どもも。みんな両手を差し出し、私が何もしないでいると、満足そうに手を下ろした。

 役場で田中美智子に取材を申し込んだが、断られた。「取材はお受けしていません」とのことだった。

 村長にも会おうとしたが、「体調不良」を理由に面会を拒否された。

 診療所の医師だけが、短い取材に応じてくれた。