灯之村発熱事件 記録集

【資料8-B】遺族証言────

 対象者:匿名(故人の息子)
 収録日:2025年11月2日

 母は八十二歳でした。糖尿病と高血圧がありましたが、自分で歩けるし、頭もはっきりしていました。

 灯之村に行ったのは、母の希望でした。「長生きの秘訣を聞いてきたい」と言って。私は仕事があったので、妻が付き添いました。

 帰ってきた日の夜、母は疲れた様子でしたが、元気でした。「いい村だった」「また行きたい」と言っていました。

 二日後の朝、母が熱を出しました。三十八度五分。すぐに病院に連れて行きましたが、「原因不明」と言われました。インフルエンザでもコロナでもない、と。

 解熱剤を処方されて帰りましたが、熱は下がりませんでした。三日目の夜、母の意識が朦朧としてきて。四日目の朝、病院に運ばれました。

 その日の夜、母は亡くなりました。多臓器不全だと言われました。

 付き添った妻は、何ともなかったんです。同じものを食べて、同じ空気を吸って、同じ挨拶を受けたのに。なのに、母だけが……。

 病院の先生は「基礎疾患が原因」と言いました。でも、それだけで説明がつくんでしょうか。

 灯之村のことを調べて、他にも同じような人がいることを知りました。訪問後に発熱して、亡くなった人が。みんな高齢者で、基礎疾患があって。

 これは、偶然なんでしょうか。