灯之村発熱事件 記録集

【資料7-C】インタビュー記録────

 対象者:田村健太(事故の相手運転手)
 収録日:2025年10月20日
 場所:都内某所

 ──事故当時の状況を教えてください。

 田村:灯之村に観光で行った帰りでした。夜になっちゃって、雨も降ってきて、早く山を下りたいと思って運転してたんです。

 ──対向車が見えたとき、どう思いましたか。

 田村:最初は普通にすれ違えると思いました。でも、相手の車がどんどんこっちに寄ってきて……。クラクションを鳴らしたんですけど、止まらなくて。

 ──回避行動は? 

 田村:右にハンドルを切りました。でも、相手も同じ方向に切ってきて……。

 ──同じ方向? 

 田村:そうなんです。普通、対向車を避けるなら左に切るじゃないですか。でも、相手の車は右に……僕と同じ方向に突っ込んできたんです。

 ──意図的だったと思いますか。

 田村:いや、そうは思いません。だって、ぶつかった後、相手の人……花村さんでしたっけ、すごく動揺してたから。「ハンドルが動かなかった」って、何度も言ってました。

 ──動かなかった? 

 田村:正確には、「違う方向に動いた」と言ってたかな。「左に切りたかったのに、勝手に右に動いた」って。

 ──それを聞いて、どう思いましたか。

 田村:正直、よくわかりませんでした。パニックで混乱してたのかなと。でも……。

 ──でも? 

 田村:あの村、ちょっと変でしたよね。みんなが変な挨拶してくるし。僕、実は帰ってから三日間熱が出たんです。三十八度くらいの。

 ──灯之村を訪れた後に? 

 田村:はい。あの事故のストレスかなと思ってたんですけど……他にも同じような人がいるって、後から知りました。

 ──あの挨拶を受けましたか。

 田村:ええ、何度も。火渡り祭りのときも、すれ違う人みんなが両手を出してきて。最初は珍しいなと思ってたんですけど、だんだん不気味になってきて。

 ──それで早めに帰ろうとした? 

 田村:はい。でも、結果的に事故に巻き込まれてしまって。……運が悪かったんでしょうかね。