灯之村発熱事件 記録集

【資料6-E】映像記録書き起こし────

 撮影者:花村園子(携帯電話)
 日時:2025年9月14日 18:30〜19:30
 場所:灯之村神社境内

(神社の境内。薪が積み上げられている。大勢の村人が集まっている)

 田中:あ、SONOKO様。また来てくださったんですね。

 花村:田中さん……。

 田中:今夜は火渡り祭りがあるんです。ぜひご覧になってください。

(田中、例の挨拶をしようとして、途中でやめる)

 田中:もう一度済んでますものね。

(田中、普通に会釈する)

 花村(独白):一度受ければ十分、ということか……。

(日が沈む。村長が松明を持って現れる)

(薪に火がつけられる。炎が夜空に立ち上る)

(村人たちが円を作って、火の周りを回り始める)

(単調な太鼓の音)

 花村(独白):観光客たちが、村人たちに混じって歩いている。

(村人が観光客と出会うたびに立ち止まる)

(両手を差し出す。あの挨拶)

 花村(独白):観光客は戸惑いながらも、その挨拶を受けている。まるで、それが祭りの一部であるかのように。

(炎に照らされた村人たちの顔)

(両手を差し出す仕草が、何度も繰り返される)

 花村(震える声で):火を……渡している……。

(映像が揺れる。花村、その場を離れる)

 花村(息を切らしながら):これは妄想だ。単なる祭りの風景を、勝手に解釈しているだけだ。

(太鼓の音が遠ざかっていく)