灯之村発熱事件 記録集

【資料2-B】映像記録書き起こし────

 撮影者:花村園子
 日時:2025年8月22日 10:15〜10:48
 場所:村長宅

(古民家の縁側。白髪の老人が座っている)

 田中:村長、SONOKO様をお連れしました。

 村長:ようこそ灯之村へ。村長の山田です。

(村長、立ち上がって両手を差し出す。皺だらけの掌を上に向けている)

 花村(ナレーション):また、あの挨拶だ。

(花村、動かずに見ている。数秒後、村長は満足げに頷く)

 村長:良い気をお持ちですな。

 花村:……ありがとうございます。

(村長、縁側に座り直す)

 村長:さて、何からお話ししましょうか。

 花村:まず、村の歴史を教えていただけますか。

 村長:当村は江戸時代中期に開かれました。山間の隠れ里として始まったと伝わっています。水が清らかで、土地が肥沃だったため、自給自足の生活が成り立ちました。

 花村:長寿の秘密は何だと思われますか。

 村長:(少し考えて)特別なものは何もありませんよ。水、空気、そして助け合いの精神。それだけです。

 花村:先ほどの挨拶も、助け合いの精神の表れですか? 

 村長:……ええ、まあ、そんなところです。

 花村:あの挨拶には、何か意味があるのでしょうか。

 村長:……。

 田中:(割り込んで)村長、診療所の時間が……。

 村長:ああ、そうだったね。SONOKO様、どうぞ村をゆっくりご覧になってください。

(村長、話を切り上げる)