優しく微笑んでいて、なぜか涙が溢れてきた。涙を拭ってくれて、抱きしめてくれた。
気がつくと、胸に縋り付いていた。優しくて暖かくて、心地よかった。
「落ち着いたか」
「う……ん」
「何があった?」
「ぼ……く、なんかの何がそんなに好きなんだよ」
冷静になってくると、抱きついたままだった。子供のように泣いてしまって、恥ずかしい。
離れようとするが、離してくれない。まあいいか、別に支障はないし。
こいつが離さないからであって、僕の意思ではないからな。それにしても、こいつは温いな。
僕のカイロになることを、特別に許してやろう。こいつの香水の香りって、癒しの効果でもあるのだろうか。
それはいいとして、気になっていることを聞いてみた。背中を摩ってくれて、不思議と勇気が湧いてきた。
「見た目だな」
「は?」
「見た目が、俺のドストライクだからな〜」
「はあ……悩んでいた自分がアホらしい」
「そうだな」
「自分で言うのはいいが、他の奴に言われたくない」
思っていた回答の斜め上をいったため、思わず顔を見上げた。優しい瞳を浮かべていて、冗談ではないようだ。
最近、こいつのことが分からなくなってきた。まあ元から、変な奴ではあるが。
ただのチャランポランのチャラ男だと思っていた。しかし真面目な様子や、真剣な表情をしている。
相手のことをしっかりと見ていて、動いている。言うほど、簡単なことではないだろう。
少なくとも、僕には無理だ。きっと僕が知らない何かが、あったのだろう。
別に無理に聞くつもりはないし、言う必要もない。だけど少しだけ寂しいって感じるのは、どうしてなんだろうな。
「俺が言いたいのは、悩むだけ損だってこと」
「どういう」
「人が人を好きになるって、言葉じゃ伝えようがないだろ」
「そんなものか」
「ああ、好きなアニメや漫画やゲーム。一々、これがあるから好きで〜とか考えないだろ」
「確かに」
「のぞむんは、深く考えすぎなんだよ」
「確かにな」
悩むだけ、損らしい。そんなことを言えるのは、悩みがない証拠だ。
まあ、こいつの場合怪しいが。本音を言わずに、隠しているような気がする。
特に理由はないが、そんな感じがする。僕のこと、信用していないわけじゃない。
それは分かっているが、少しだけ寂しい。抱きしめ合っているのに、心の距離がある。
僕に相談しても、明確な答えは出せない。それは分かっているが、少しは頼ってほしい。
僕ばかりな気がして、なんかむず痒い。まあそんなこと言えるぐらいなら、友達の一人や二人出来ただろうけど。
確かに、こいつの言っていることも一理あるのか。なんか、微妙に違う気がする。
この流れじゃなかったら、納得しないかも。まあ、オタクとして言いたいことは分かる。
「そんでもって、深く考えずに俺と付き合うのってのは」
「それはない」
「振られた〜」
「お前が真面目に……その……好意を伝えてくれているのに……適当なことはできないだろう」
一応、カッコいいことを言った。そこでやめておけばいいのに、余計なこと言っている。
それがなければ、カッコいいのにな。まあ、こいつらいしくていいかもな。
深く考えずにって、そんなの相手に失礼だろう。少なくとも、こんなに真剣に考えてくれているのに。
僕はそんな中途半端なことは、絶対にしたくない。自分の気持ちが分からないままで、期待させてしまっている。
それは分かっているが、離れたくない。こいつの体温は心地よくて、香りは優しい気持ちにしてくれるから。
「他の奴には言うなよ。真面目な話、勘違いされると困る」
「勘違いって……お前以外に、僕のことそういう目で見ている奴いないだろ」
「そういう目って?」
「揶揄うな」
「にしし。言いたくはないが、いっぱいいるだろ。お前のことが好きな奴は」
「何言ってんだ」
「マジで、自覚ないのかよ」
他の奴には、言うなと言われた。勘違いって、そもそもないだろ。
こいつ以外に、僕を好きになる奴はいないだろう。僕を好きな奴がいるとか、何を意味の分からないことを言っているんだ。
今まで、告白されたこともないし。好かれていることもなかったのに、そんなわけないだろう。
なんか、妙に悲しくなってきた。そんな事実を突きつけるのは、やめてほしい。
それに、こいつに好かれていればいい。そんなことを、思っている自分に驚いてしまった。
まあ嬉しそうに笑っているし、今はそれでいいか。こいつといると、嫌なことや悲しいことを忘れられるのだから。
「春木くん、寒いなら……ココア飲む?」
「えっ、いいの。飲みたいんじゃ」
「ま……違えただけだから」
「そっか、ありがと」
「きゃあ〜話せたっ」
「よかったね〜」
十月になって、寒くなってきた。最近、クラスメイトから話しかけられるようになった。
今も女子から、ココアを貰った。間違えたって言っていたけど、本当なのかな。
疑いたくないけど、まだ暖かい。買って直ぐみたいで、そんなことあるのかな。
物を貰うことが増えたけど、見返りは求めてないらしい。何も返せないけど、困ったものである。
何かを渡そうとしても、大丈夫だと言われてしまう。どういう意図なのか、理解できない。
女子は、いつも話しかけてくれる。そして決まって、嬉しそうに飛び跳ねている。
そして、それ以上に理解できない奴がいる。それは僕の隣で、仏頂面で弁当を食べている奴だ。
「なあ、何を怒っているんだ」
「別に〜モテモテの春木様〜」
「何を言ってるんだ」
「……はあ……ほんとに……もうっ! この子はっ」
昼休みになって、空き教室へと向かった。朔弥くんに、二人で話したいと言われたためである。
当の本人が、何も言ってくれない。今日はこいつの好きなハンバーグに、オムレツである。
豪華な弁当なのに、何か気に食わないのだろうか。仏頂面の癖して、食欲は一丁前のようだ。
豪快な食べ方をして、文句を言っている。しかも何故か、お母さんみたいな言い方をしている。
僕が何かしたの言うのなら、はっきりと言ってほしい。まあ、どうせくだらないことだろうけど。
「で? 何があったんだ」
「自分がモテているという自覚は、お有りでしょうか」
気がつくと、胸に縋り付いていた。優しくて暖かくて、心地よかった。
「落ち着いたか」
「う……ん」
「何があった?」
「ぼ……く、なんかの何がそんなに好きなんだよ」
冷静になってくると、抱きついたままだった。子供のように泣いてしまって、恥ずかしい。
離れようとするが、離してくれない。まあいいか、別に支障はないし。
こいつが離さないからであって、僕の意思ではないからな。それにしても、こいつは温いな。
僕のカイロになることを、特別に許してやろう。こいつの香水の香りって、癒しの効果でもあるのだろうか。
それはいいとして、気になっていることを聞いてみた。背中を摩ってくれて、不思議と勇気が湧いてきた。
「見た目だな」
「は?」
「見た目が、俺のドストライクだからな〜」
「はあ……悩んでいた自分がアホらしい」
「そうだな」
「自分で言うのはいいが、他の奴に言われたくない」
思っていた回答の斜め上をいったため、思わず顔を見上げた。優しい瞳を浮かべていて、冗談ではないようだ。
最近、こいつのことが分からなくなってきた。まあ元から、変な奴ではあるが。
ただのチャランポランのチャラ男だと思っていた。しかし真面目な様子や、真剣な表情をしている。
相手のことをしっかりと見ていて、動いている。言うほど、簡単なことではないだろう。
少なくとも、僕には無理だ。きっと僕が知らない何かが、あったのだろう。
別に無理に聞くつもりはないし、言う必要もない。だけど少しだけ寂しいって感じるのは、どうしてなんだろうな。
「俺が言いたいのは、悩むだけ損だってこと」
「どういう」
「人が人を好きになるって、言葉じゃ伝えようがないだろ」
「そんなものか」
「ああ、好きなアニメや漫画やゲーム。一々、これがあるから好きで〜とか考えないだろ」
「確かに」
「のぞむんは、深く考えすぎなんだよ」
「確かにな」
悩むだけ、損らしい。そんなことを言えるのは、悩みがない証拠だ。
まあ、こいつの場合怪しいが。本音を言わずに、隠しているような気がする。
特に理由はないが、そんな感じがする。僕のこと、信用していないわけじゃない。
それは分かっているが、少しだけ寂しい。抱きしめ合っているのに、心の距離がある。
僕に相談しても、明確な答えは出せない。それは分かっているが、少しは頼ってほしい。
僕ばかりな気がして、なんかむず痒い。まあそんなこと言えるぐらいなら、友達の一人や二人出来ただろうけど。
確かに、こいつの言っていることも一理あるのか。なんか、微妙に違う気がする。
この流れじゃなかったら、納得しないかも。まあ、オタクとして言いたいことは分かる。
「そんでもって、深く考えずに俺と付き合うのってのは」
「それはない」
「振られた〜」
「お前が真面目に……その……好意を伝えてくれているのに……適当なことはできないだろう」
一応、カッコいいことを言った。そこでやめておけばいいのに、余計なこと言っている。
それがなければ、カッコいいのにな。まあ、こいつらいしくていいかもな。
深く考えずにって、そんなの相手に失礼だろう。少なくとも、こんなに真剣に考えてくれているのに。
僕はそんな中途半端なことは、絶対にしたくない。自分の気持ちが分からないままで、期待させてしまっている。
それは分かっているが、離れたくない。こいつの体温は心地よくて、香りは優しい気持ちにしてくれるから。
「他の奴には言うなよ。真面目な話、勘違いされると困る」
「勘違いって……お前以外に、僕のことそういう目で見ている奴いないだろ」
「そういう目って?」
「揶揄うな」
「にしし。言いたくはないが、いっぱいいるだろ。お前のことが好きな奴は」
「何言ってんだ」
「マジで、自覚ないのかよ」
他の奴には、言うなと言われた。勘違いって、そもそもないだろ。
こいつ以外に、僕を好きになる奴はいないだろう。僕を好きな奴がいるとか、何を意味の分からないことを言っているんだ。
今まで、告白されたこともないし。好かれていることもなかったのに、そんなわけないだろう。
なんか、妙に悲しくなってきた。そんな事実を突きつけるのは、やめてほしい。
それに、こいつに好かれていればいい。そんなことを、思っている自分に驚いてしまった。
まあ嬉しそうに笑っているし、今はそれでいいか。こいつといると、嫌なことや悲しいことを忘れられるのだから。
「春木くん、寒いなら……ココア飲む?」
「えっ、いいの。飲みたいんじゃ」
「ま……違えただけだから」
「そっか、ありがと」
「きゃあ〜話せたっ」
「よかったね〜」
十月になって、寒くなってきた。最近、クラスメイトから話しかけられるようになった。
今も女子から、ココアを貰った。間違えたって言っていたけど、本当なのかな。
疑いたくないけど、まだ暖かい。買って直ぐみたいで、そんなことあるのかな。
物を貰うことが増えたけど、見返りは求めてないらしい。何も返せないけど、困ったものである。
何かを渡そうとしても、大丈夫だと言われてしまう。どういう意図なのか、理解できない。
女子は、いつも話しかけてくれる。そして決まって、嬉しそうに飛び跳ねている。
そして、それ以上に理解できない奴がいる。それは僕の隣で、仏頂面で弁当を食べている奴だ。
「なあ、何を怒っているんだ」
「別に〜モテモテの春木様〜」
「何を言ってるんだ」
「……はあ……ほんとに……もうっ! この子はっ」
昼休みになって、空き教室へと向かった。朔弥くんに、二人で話したいと言われたためである。
当の本人が、何も言ってくれない。今日はこいつの好きなハンバーグに、オムレツである。
豪華な弁当なのに、何か気に食わないのだろうか。仏頂面の癖して、食欲は一丁前のようだ。
豪快な食べ方をして、文句を言っている。しかも何故か、お母さんみたいな言い方をしている。
僕が何かしたの言うのなら、はっきりと言ってほしい。まあ、どうせくだらないことだろうけど。
「で? 何があったんだ」
「自分がモテているという自覚は、お有りでしょうか」
