甘えたいみたいなので、盛大にわしゃわしゃした。すると嬉しそうに、身を寄せてきた。
その様子を見て、朔弥くんは悔しがっていた。犬に嫉妬しているようで、可愛いな。
さっきまで、変な空気になっていた。恥ずかしかったから、助かったかもな。
子供みたいに、朔弥くんは怒っている。その様子を見て、自然と笑顔になった。
「はあ……ふう……もうっ、無理っ」
「まだ、一キロも走ってないぞ」
「はあ……何言ってんだっ……一キロってことは、千メートルってこと……でっ」
「ダメだ……疲れて、思考回路がバグってるな」
それから数日後、体育の授業のこと。マラソンをする事になり、男子は五キロを走る事になった。
一時間目から、マラソンはキツイよね。僕みたいなもやしには、無理なのである。
朔弥くんは、僕と一緒に走っている。というか、僕を引っ張っている。
運動能力は皆無なため、拷問に近いよな。普段運動をしていないのに、そんなに走れるかよ。
ゴンザレスの時も、完全に引っ張られているのに。散歩をしているのではなく、保護者同伴に過ぎないのだ。
自分の運動音痴を、他人のせいにする。ダメだとは分かっていても、無理なものは無理なのである。
本当は休みたいが、何かしらの負傷がないと認めてもらえない。内申点も下がってしまうため、否応なしに参加せざる負えない。
僕みたいな、優等生が休むわけにはいかない。まあ、頑張ってる素振りは見せる事にしよう。
タイムよりも、頑張りである。先生たちだって鬼じゃないから、分かってくれるはずだ。
「ぜえ……はあ……ぜえ……ゴホッゴホッ」
「大丈夫か」
「だい……はあ……じょ……ゴホッ……ぶっ」
「はいはい、無理はしない。ほら、うがいして」
「はあ……はあ」
なんとか、完走することができた。朔弥くんのおかげのため、後で何かご馳走しよう。
水飲み場で、僕は少し戻してしまった。背中を摩ってくれて、優しく声をかけてくれた。
余裕綽々で、少し腹は立った。しかしこいつのおかげのため、この気持ちは忘れよう。
呼吸が乱れているため、息を整えよう。うがいをして、深呼吸をした。
隣を見ると、僕を見て恍惚そうな表情を浮かべていた。恥ずかしくなったため、静かに目を逸らした。
「ふう〜疲れた」
「飲み物飲むか? あっ、チョコの方がいいか? 飴ちゃんもあるぞ? それとも〜うまうま棒もあるぞ」
「待て、どん……もぐもぐ……だけお菓子……ゴクっゴクっ……持ってくるんだ……学校は……もぐもぐ……勉強する場所で」
「食べながら、説教してくる」
制服は、夏服から冬服への移行期間になった。今は暑いが、次期に寒くなるだろう。
そのため、薄手のカーディガンを持ってきた。僕はかなりの寒がりのため、必須なのである。
朔弥くんは平気なようで、半袖を着ている。僕は、机でぐでぇ〜としていた。
するとそれを見ていた朔弥くんは、飲み物と大量のお菓子を出してきた。
その量、どこに入っていたのだろうか。そのバッグは、次元でも違うのだろうか。
そんなことが気になったが、今は腹ごしらえが優先である。お昼までは、まだまだ時間があるからね。
小さいケーキみたいなのもあって、駄菓子って美味いよね。クラスメイトたちから見られていたため、叱ることも忘れずに。
何やらツッコんでいたが、僕には関係ないだろう。それにしても、美味いな〜。
「あっ、動かないで」
「えっ! 何っ! 心の準備が」
「何言ってんの? ほら、直った」
「へ?」
「ネクタイ、曲がってたから」
「あっ……ありがと」
落ち着くと、朔弥くんのネクタイに目がいった。少し曲がっているし、適当な結び方をしている。
あれじゃ、直ぐに解けてしまうよね。飲み物とお菓子をもらったから、恩返ししよう。
そう思って、首元に手を伸ばした。すると何故か、意味の分からないことを言っている。
顔を真っ赤にして、狼狽えていた。変な奴なのは、今に始まったことじゃないか。
ネクタイを直して、顔を見上げた。すると何故か、さらに顔を真っ赤にしていた。
するとそれを見ていた女子が、顔を赤くしている。意味が分からないため、首を傾げた。
何故か、朔弥くんは笑っていた。やっぱり、意味が分からない。
「じ〜」
「煩い」
「じ〜しか言ってない」
「それが煩い、気が散る」
放課後になり、日誌を書いていた。その様子を朔弥くんは、じ〜と見つめている。
隣の席からだけど、左の頬に穴が空きそう。そのため、煩いと顔を見ずに注意した。
しかし反抗的な態度をとっているため、少しだけイラッとした。手伝うわけでもなく、見つめてくる。
まあ、字が下手のため返って迷惑になりかねないが。何をすることなく、ずっと待っている。
僕の顔を見て、何か楽しいことでもあるのだろうか。この人みたいに、綺麗な顔ならいざ知らず。
やっぱり、犬みたいな奴だ。飼い主に、構ってもらうのを待っているみたいな。
そう思うと、少しだけ可愛いかも。少しだけで、犬みたいだからっていう意味である。
決して他意はなく、それ以上でもそれ以下でもない。誰に対して、言い訳をしているのだろうか。
「一緒に帰りたい」
「時間かかるぞ」
「いいよ、待ってる」
真面目なトーンで、一緒に帰りたいと告げてきた。正直嬉しいが、そのことを素直に言えない。
なんか、こいつの前だと素直になれない。告白されたのが、初めてだった。
それもあると思うが、それだけじゃない。何か上手く表現できないが、違うような気がした。
その理由が分かれば、きっとこのモヤモヤも解消されるのだろうか。
横を向くと、優しい瞳をしていた。そんなキラキラな瞳で、ずっと見つめていたのか。
心臓が高鳴って、目を逸らすことができない。この笑顔を見ると、妙な感覚に陥ってしまう。
「うにゃ! あに、すんだ!」
「よかった。何か、悩んでいるのか」
「ど……うして」
「何がだ」
「どうして、そんなに……優しいんだ」
「好きだから。それ以外にないだろう」
そこで自分の何がそんなに良いのか、気になってきた。ただ勉強だけが取り柄で、何もない。
アニメが好きなのは、現実逃避だ。自分の気持ちも定まっていないのに、相手の気持ちを疑う。
最低な行為だなと思っていると、両頬を掴まれた。ムニュムニュされて、怒ってしまう。
その様子を見て、朔弥くんは悔しがっていた。犬に嫉妬しているようで、可愛いな。
さっきまで、変な空気になっていた。恥ずかしかったから、助かったかもな。
子供みたいに、朔弥くんは怒っている。その様子を見て、自然と笑顔になった。
「はあ……ふう……もうっ、無理っ」
「まだ、一キロも走ってないぞ」
「はあ……何言ってんだっ……一キロってことは、千メートルってこと……でっ」
「ダメだ……疲れて、思考回路がバグってるな」
それから数日後、体育の授業のこと。マラソンをする事になり、男子は五キロを走る事になった。
一時間目から、マラソンはキツイよね。僕みたいなもやしには、無理なのである。
朔弥くんは、僕と一緒に走っている。というか、僕を引っ張っている。
運動能力は皆無なため、拷問に近いよな。普段運動をしていないのに、そんなに走れるかよ。
ゴンザレスの時も、完全に引っ張られているのに。散歩をしているのではなく、保護者同伴に過ぎないのだ。
自分の運動音痴を、他人のせいにする。ダメだとは分かっていても、無理なものは無理なのである。
本当は休みたいが、何かしらの負傷がないと認めてもらえない。内申点も下がってしまうため、否応なしに参加せざる負えない。
僕みたいな、優等生が休むわけにはいかない。まあ、頑張ってる素振りは見せる事にしよう。
タイムよりも、頑張りである。先生たちだって鬼じゃないから、分かってくれるはずだ。
「ぜえ……はあ……ぜえ……ゴホッゴホッ」
「大丈夫か」
「だい……はあ……じょ……ゴホッ……ぶっ」
「はいはい、無理はしない。ほら、うがいして」
「はあ……はあ」
なんとか、完走することができた。朔弥くんのおかげのため、後で何かご馳走しよう。
水飲み場で、僕は少し戻してしまった。背中を摩ってくれて、優しく声をかけてくれた。
余裕綽々で、少し腹は立った。しかしこいつのおかげのため、この気持ちは忘れよう。
呼吸が乱れているため、息を整えよう。うがいをして、深呼吸をした。
隣を見ると、僕を見て恍惚そうな表情を浮かべていた。恥ずかしくなったため、静かに目を逸らした。
「ふう〜疲れた」
「飲み物飲むか? あっ、チョコの方がいいか? 飴ちゃんもあるぞ? それとも〜うまうま棒もあるぞ」
「待て、どん……もぐもぐ……だけお菓子……ゴクっゴクっ……持ってくるんだ……学校は……もぐもぐ……勉強する場所で」
「食べながら、説教してくる」
制服は、夏服から冬服への移行期間になった。今は暑いが、次期に寒くなるだろう。
そのため、薄手のカーディガンを持ってきた。僕はかなりの寒がりのため、必須なのである。
朔弥くんは平気なようで、半袖を着ている。僕は、机でぐでぇ〜としていた。
するとそれを見ていた朔弥くんは、飲み物と大量のお菓子を出してきた。
その量、どこに入っていたのだろうか。そのバッグは、次元でも違うのだろうか。
そんなことが気になったが、今は腹ごしらえが優先である。お昼までは、まだまだ時間があるからね。
小さいケーキみたいなのもあって、駄菓子って美味いよね。クラスメイトたちから見られていたため、叱ることも忘れずに。
何やらツッコんでいたが、僕には関係ないだろう。それにしても、美味いな〜。
「あっ、動かないで」
「えっ! 何っ! 心の準備が」
「何言ってんの? ほら、直った」
「へ?」
「ネクタイ、曲がってたから」
「あっ……ありがと」
落ち着くと、朔弥くんのネクタイに目がいった。少し曲がっているし、適当な結び方をしている。
あれじゃ、直ぐに解けてしまうよね。飲み物とお菓子をもらったから、恩返ししよう。
そう思って、首元に手を伸ばした。すると何故か、意味の分からないことを言っている。
顔を真っ赤にして、狼狽えていた。変な奴なのは、今に始まったことじゃないか。
ネクタイを直して、顔を見上げた。すると何故か、さらに顔を真っ赤にしていた。
するとそれを見ていた女子が、顔を赤くしている。意味が分からないため、首を傾げた。
何故か、朔弥くんは笑っていた。やっぱり、意味が分からない。
「じ〜」
「煩い」
「じ〜しか言ってない」
「それが煩い、気が散る」
放課後になり、日誌を書いていた。その様子を朔弥くんは、じ〜と見つめている。
隣の席からだけど、左の頬に穴が空きそう。そのため、煩いと顔を見ずに注意した。
しかし反抗的な態度をとっているため、少しだけイラッとした。手伝うわけでもなく、見つめてくる。
まあ、字が下手のため返って迷惑になりかねないが。何をすることなく、ずっと待っている。
僕の顔を見て、何か楽しいことでもあるのだろうか。この人みたいに、綺麗な顔ならいざ知らず。
やっぱり、犬みたいな奴だ。飼い主に、構ってもらうのを待っているみたいな。
そう思うと、少しだけ可愛いかも。少しだけで、犬みたいだからっていう意味である。
決して他意はなく、それ以上でもそれ以下でもない。誰に対して、言い訳をしているのだろうか。
「一緒に帰りたい」
「時間かかるぞ」
「いいよ、待ってる」
真面目なトーンで、一緒に帰りたいと告げてきた。正直嬉しいが、そのことを素直に言えない。
なんか、こいつの前だと素直になれない。告白されたのが、初めてだった。
それもあると思うが、それだけじゃない。何か上手く表現できないが、違うような気がした。
その理由が分かれば、きっとこのモヤモヤも解消されるのだろうか。
横を向くと、優しい瞳をしていた。そんなキラキラな瞳で、ずっと見つめていたのか。
心臓が高鳴って、目を逸らすことができない。この笑顔を見ると、妙な感覚に陥ってしまう。
「うにゃ! あに、すんだ!」
「よかった。何か、悩んでいるのか」
「ど……うして」
「何がだ」
「どうして、そんなに……優しいんだ」
「好きだから。それ以外にないだろう」
そこで自分の何がそんなに良いのか、気になってきた。ただ勉強だけが取り柄で、何もない。
アニメが好きなのは、現実逃避だ。自分の気持ちも定まっていないのに、相手の気持ちを疑う。
最低な行為だなと思っていると、両頬を掴まれた。ムニュムニュされて、怒ってしまう。
