虎倉井ブリーズワールドの思い出を募集しています

虎倉井ブリーズワールドの記憶の残す会のメンバーYさん

 旧虎倉井ブリーズワールド地下からの子供たちの遺体発見および身元の判明。子供たちの死の原因であると考えられる未知の怪物、鬼虎らしき生物の死骸発見の記事の内容をもって、虎倉井ブリーズワールドの記憶を残す会の調査活動は決着を迎えました。行方不明になった家族を見つけるという最大の目的は果たせことで、メンバーたちは感情に一つの区切りをつけました。

 私個人としてはまだ、調査活動を続ける余地があるのではないかと考えていますが、長年会を牽引し、先陣を切って調査活動を行ってきた風祭さんが身を引くことを決断した今、これ以上、会としての調査活動が行われることはないでしょう。風祭さんには感謝していますし、彼自身大きなリスクを背負って今回のプロジェクトを進めてきた。彼は充分に戦いました。そんな彼が身を引く決断をしたなら、それを責める権利は誰にもありません。

 今後は独自のコネクションを駆使し、個人で調査を続けていく所存です。家族の仇である怪物はもうこの世に存在しないかもしれないが、その存在を知りながら凶行を容認した当時の関係者がまだ残っていたなら、償わせなければいけません。例えどのような手を使ったとしても。

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元スタッフAさん

 虎倉井ブリーズワールドの元スタッフとして、私自身もこれまで情報収集にあたってきましたが、改めて調査結果を振り返ってみると、知らなずにとはいえ、未知の怪物と同じ園内で一緒に勤務していたという事実に、25年越しに強い恐怖を覚えています。当時虎倉井ブリーズワールドに勤務していた元スタッフ全員が同じ心境にあることでしょう。

 そのうえで、何も知らなかったとはいえ、当時の己の無力さには忸怩たる思いがあります。園長が事件に関与していた以上、実効性があったかは分かりませんが、迷子が多発していた以上、例えば迷子が発生しにくい、迷子になってもすぐに発見できるようなシステムを構築するなど、我々スタッフ側にも何か出来ることがあったかもしれない。そうすれば、救えた幼い命があったかもしれない。営業当時に戻れたらと、そう願わずにはいられません。

 今回の事件に限った話ではありませんが、ご家族の方はどうか、お連れのお子様が迷子にならないように、しっかりと見守っていてあげてください。元遊園地スタッフからの切実なお願いです。

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郷土史家 升谷健文氏

 鬼虎が実在していたとすれば、それが虎倉井の郷土史の根幹をも揺るがしかねない、決して無視できぬ大きな要素です。私は郷土史の観点から、これからも鬼虎についての調査を続けていく所存です。

 鬼虎はいつからこの地に存在していたのか。昔の人々は鬼虎とどのように向き合ってきたのか。これまでに得た郷土史の知識もまた、鬼虎の存在によってまったく違った側面が見えてくるかもしれません。

 また、決して怖がらせたいわけではありませんが、謎の生物の骨が仮に鬼虎のものだったとして、鬼虎は本当にあの一体だけなのか。虎倉井ではない別の地域に同種、あるいは類する怪物が存在する可能性も否定できないのではないか。そんな不安を拭いされません。各地の伝承などとも照らし合わせて、検証を進めていきたいと思います。平和のため、調査が徒労に終わることを願うばかりです。

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 警察関係者Aさん

 私は現職の警察官です。今回は名前や顔を明かせないちう条件でお話をさせていただきます。一連の事件は子どもたちの命を奪った犯人は不明。遊園地の運営会社も倒産しており、当時の経営陣も鬼籍に入っている。殺人犯は不明。地下空間から遺体で発見された当時の園長を誘拐および死体遺棄の容疑で、被疑者死亡のまま書類送検するという形で捜査は終了しました。

 正直に申し上げると、遺族にとっては到底納得できるような内容ではなかったことでしょう。しかしこれが、法の番人たる警察の捜査の限界でした。

 虎倉井ブリーズワールドの記憶を残す会から提供された「鬼虎」なる怪物の情報。実際、鑑識の捜査でも、あの地下空間を未知の生物が棲みかとしていた可能性は指摘されていました。残されていた大量の人骨。中でも園長の遺体の状況は、人間の仕業にしてはあまりにも異様だった。「鬼虎」という人食いの怪物。そのピースをはめることで、事件の残された謎にピッタリとはまる。少なくとも私個人としては、伝承だ空想だと、「鬼虎」の存在を軽視するつもりはありません。

 しかし、法の番人たる警察が、埒外の存在を前提に捜査を進めることなどできない。残念ながらこれが現実だ。そういう意味でもやはり、現在の形での決着が警察の捜査の限界なのです。

 警察として出来ることは限られていますが、「鬼虎」の存在は今後も記憶に留めておく所存です。過去に発見された謎の生物の骨の正体が「鬼虎」であったなら脅威は去ったと言えますが、予断は禁物だ。今後とも地域で発生した行方不明事案および、奇妙な生物の目撃情報には目を光らせていくつもりです。我々警察官には、地域の平和を守る責務がありますから。