虎倉井ブリーズワールドの思い出を募集しています

「はい! 懲りずにまた、虎倉井山にやってきています。前回はやらかして警察の世話になっちゃったけど、おかげで警察署で過ごす貴重な体験をすることが出来ました。その時の話は後日、動画にまとめてアップする予定なので、要チェックですよ!」

 三カ月前に、旧虎倉井ブリーズワールドで騒ぎを起こした三人組が、悪びれる様子もなく再び生配信を行っている。どうやら三人は、旧虎倉井ブリーズワールドの駐車場にいるようだ。

「今回は大量の人骨が発見されたっていう、例の地下空間を撮影する予定です。血の跡とか残ってると雰囲気出るんだけどな」

 常識を疑う発言が金髪の青年から飛び出した直後、取り巻き二人の様子が騒がしくなった。

「お、おい! あれ見ろよ」
「あ? なんだよ急に」

 仲間が指さした林の方向に、金髪の青年がカメラを向けると。

「……な、何だよ、あれ」

 カメラは、木々の間からこちらの様子を伺う、赤く光る目を持つ、二足歩行の黒い生物の姿を捉えていた。全長は160センチメートル程。頭が異様に大きく、大きな口からは鋭い牙がたくさん生えている。赤い目がこちらを見つめ、獲物を見つけたと言わんばかりに大口を開け、そこから涎が滴っていた。

「お、おい! こっちに来るぞ」
「早く逃げ――」

 慌てて逃げようとして、金髪の青年はスマホをその場に落としてしまった。カメラはアスファルトに伏せられる形となり、映像が真っ暗になっている。

「い、嫌だああ――」
「ぎゃああああ――」
「誰か助け――」

 三人分の絶叫を拾った直後、何かに強く踏みつけられたのかスマホのカメラが破損。映像はそこで終わっている。



 了