虎倉井ブリーズワールドの思い出を募集しています

 風祭竜也です。

 旧虎倉井ブリーズワールドから白骨遺体が発見されてから、二カ月近くが経過しました。「虎倉井ブリーズワールドの記憶を残す会」の行方不明となった家族を中心に、遺体の身元が判明していく中、新たな謎が生まれています。

 未だ身元不明の白骨死体のほとんどが、虎倉井ブリーズワールドの営業当時に行方不明になった子供たちの遺体と比較して、明らかに古いものばかりなのです。その多くが100年近く前のもの、中にはもっと古いと思われる、風化しかけていた人骨まであったそうです。あの謎の地下空間も人工的に掘られたものではなく、元々存在していた天然の地下洞窟のような場所。唯一の人工物と思われる祭壇のような物体だけは、比較的新しいもののようですが。

 祭壇を除き、あの地下空間身元不明の大量の白骨死体は、あの土地――虎倉井山に、虎倉井ブリーズワールドが建設されよりも前から存在していた可能性が極めて高いのです。

 祭壇から大量の古い人骨が見つかったという怪奇的な状況から、インターネット上や一部週刊誌などでは、「あの土地では生贄の儀式が行われていて、虎倉井ブリーズワールド営業時の子供たちの行方不明もその延長線上にある」などといった論調が生まれている。家族が犠牲となった事件を、何も知らない第三者が、興味本位で様々な考察を繰り広げている現状には憤りを覚えますが、そんなオカルトめいた考察が生まれてしまうほどに、この事件が異常な点が多いのは紛れもない事実です。実際のところ私も、祭壇や大量の人骨の話を聞いた瞬間は、「生贄」の二文字を想像せずにはいられませんでしたから。

 捜査に大きな進展が見られず、事件の背景が見えてこない現状も、オカルトを含む様々な憶測を生んでいるのかもしれません。

 さて、事件の背景について、我々「虎倉井ブリーズワールドの記憶を残す会」でも独自に調査を進めておりますが、大変ありがたいことに活動の中で、皆さまからたくさんの情報をお寄せいただいております。その中でいくつか、とても気になる情報が見つかりました。

 今から43年前。虎倉井山を切り開き、虎倉井ブリーズワールドを建設することに対して、地元住民による反対運動が起きていました。建設会社側の様々な疑惑も去ることながら、虎倉井山という土地を開発することへの恐れが、反対派住民の活動の根幹にあったようです。

 虎倉井山には古くからの伝承がありました。情報提供者様の世代ではすでに、伝承が途絶えていたそうですが、その親世代や、さらに上の世代はその伝承をとても恐れていたようです。それが反対運動にも繋がっていたのでしょう。しかし反対派の奮闘虚しく、虎倉井山の開発および虎倉井ブリーズワールドの建設は始まりました。

 それからおよそ1年後。建設が始まった虎倉井ブリーズワールドの現場では、作業中の事故が多発するようになりました。労働基準監督署から指導が入るなどし、当時の新聞でも報道されている出来事です。作業員個々人の不注意によるところが大きいと建設会社側は発表していましたが、当時の現場を知る方は、未知の生物に作業員が襲われる事件が多発していたことが、事故の本当の原因であると語っていました。

 本当に未知の生物が出現していたのか? 現場の当事者ではない我々には、文章情報だけで審議を判断することは出来ません。しかし、事故が多発していたことは事実ですから、現場で何かが起きていたことは間違いないでしょう。
 情報提供者の方も仰っていましたが、地元住民が虎倉井山の開発に反対していたこととも無関係とは思えません。だとすれば、その未知の生物は、虎倉井山の伝承と結びついている可能性もあるかもしれない。

 未知の生物の正体について現実的な見方をすれば、何者かによる人為的な妨害工作という可能性も考えられる。事実、前年までは反対運動が活発だったわけですから。

 ですが私は、本当に未知の生物がいた可能性を否定する気にはなれない。

 情報提供者が語る未知の生物の特徴は、実体を持った影のように真っ黒で、人間のように二足歩行で移動し、体長は160センチ前後。卵型の大きな頭部には牙の生えた巨大な口があり、目は赤く光っている。まさしく異形としか形容しようのない姿ですが、私はその姿のイメージに既視感がありました。

 以前、「虎倉井ブリーズワールドメモリープロジェクト」に応募された写真の中に、赤い目を怪しく光らせた何かを撮影した1枚があったのです。撮影者が駐車場から森の方向を遠目に撮影したもので、推定体長160センチ前後の、二足歩行の謎の生物です。虎倉井山には昔から熊は生息していませんし、そもそもこんな大きな生物が目撃されていたら、過去にも騒ぎになっている。この生物の正体は何なのか。撮影者も不思議がっていました。

 辺りが暗かったこともあり、全身像は不明ですが、おおよその大きさと赤い目という特徴が、40年以上前に当時の建設現場で目撃された未知の生物とよく似ている気がします。少なくとも私は工事現場で起きた出来事を知った時、すぐに以前見た写真を想起しました。

 未知の生物が実在したと仮定すると、虎倉井ブリーズワールドの営業当時、少なくとも1995年頃には、まだ園の周辺に存在していたということになってしまいますが。

 未知の生物の正体についてはひとまず置いておくとして、まずは虎倉井ブリーズワールド建設当時、反対派住民と建設会社側との衝突の理由に繋がったと思われる、虎倉井山の古い伝承について詳しく調べてみようと思います。そこに何か、あの謎の地下空間や古い祭壇、大量の人骨に関するヒントがあるかもしれませんから。