提供映像5
提供者:匿名希望
撮影時期:2001年6月3日。
撮影者との関係:防犯カメラ映像
【映像本編】
2001年6月3日の虎倉井ブリーズワールド内、噴水広場を見下ろす形で撮影する防犯カメラの映像のようだ。当時の映像なので、カメラは固定で音声は記録されていない。画素数は30万から40万画素程度と映像が荒く、画面の下の方では、砂嵐のような横線、トラッキングノイズが常に走っている。カラー映像ではあるが、彩度は低く、色味は大雑把にしか分からない。
画面の隅のデジタルの日付表示は、2001年6月3日の午前11時1分を示している。映像の中央に映る噴水広場の前で、ビデオカメラを持った女性が噴水を撮影している。噴水の撮影を終えると、女性は画面の下側にあるベンチに座った。周囲に人気はほとんどなかったが、1分もすると、赤いキャップと黒いティーシャツ、赤いスニーカーを履いた小さな男の子が一人で、中央の噴水へとやってきた。昔のカラー映像なので、赤いキャップとスニーカーの色が、横に流れるように滲んでいた。そのまま男の子は噴水の淵に手をついて、水場を覗き込んだ。
すると画面の上側から風船を一個持ったキトラくんが現れ、噴水を覗き込んでいた男の子に近づき、そっと肩に触れた。男の子を噴水から離すと、キトラくんは風船を手渡したが、男の子が喜んで飛び跳ねているうちに、風船は男の子の手を離れてふわふわと上昇し、画面からフェードアウトしていく。残念そうに上を見上げている男の子の肩に優しく触れると、キトラくんは自分がやってきた、画面の上側の方向を指さした。そのままキトラくんは男の子と手を繋ぎ、画面の上側、防犯カメラの画角の外へと消えていった。少し遅れて、ベンチに座っていたビデオカメラを持った女性が立ち上がり、二人の後を追うように、画面の上側へと消えていった。
防犯カメラの映像が、タイガーホール前に切り替わる。時刻は11時5分。そこではキトラくんの着ぐるみがお客さんと写真撮影をしていた。
防犯カメラの映像が、エントランス広場へと切り替わる。時刻は11時6分。ここでは別のキトラくんの着ぐるみが、ファンの女性とハグを交わしていた。
防犯カメラの映像が、タイガーフォレスト前を撮影したものへと変わる。時刻は11時7分。画面の下側、噴水広場の方角から、赤いキャップの男の子とテトラくんが姿を現し、二人はそのまま、タイガーフォレストの建物の右側面にある、バックヤードの入り口の中へと消えていった。ビデオカメラを持った女性も噴水広場から姿を現し、二人の方へとカメラを向けていたが、二人が建物の中へ入っていくのを見届けると、カメラを一度しまい、噴水広場の方へと引き返していった。
防犯カメラの映像が、タイガーフォレストのアトラクション内へと切り替わる。入ってすぐの位置に設置されたカメラは、お客さんが続々と入場してくる様子を延々と映し続けている。迷路内の映像では、迷いやすい分岐点と、複数の行き止まりの箇所に防犯カメラが設置されているが、目立ったトラブルは確認されない。出口付近の防犯カメラは、入場したお客さんが漏れなく、タイガーフォレストから脱出する様子を延々と撮影し続けている。
バックヤードにもカメラが一台設置されているが、制服の緑色のポロシャツを着たスタッフが時々行き来するだけで、目立った変化は見られない。結局、タイガーフォレストに入っていった赤いキャップの男の子とキトラくんは、一度も内部の防犯カメラに映ることはなかった。
防犯カメラの映像が、迷子センター前へと切り替わる。時刻は11時29分を示している。カメラは迷子センターに、夫婦らしき男女二人が駆け込んでいく様子を捉えていた。
以上が、匿名希望さんから提供された映像である。
映像に関するエピソード
突然、このようなビデオを送り付けてしまい、驚かせてしまったかと存じます。私は当時、虎倉井ブリーズワールドに勤務していた関係者で、この映像は正真正銘、当時の園内を撮影した防犯カメラ映像です。25年も昔のこととはいえ、防犯カメラ映像の持ち出しは許されることではありません。ですからどうか、私のことは詮索しないでください。
映像が撮影されたこの日、虎倉井ブリーズワールドで一人の男の子が迷子になり、正午前に両親が迷子センターに駆け込んできました。迷子になっているのは、〇〇市から家族で遊びに来ていた〇〇くん。年齢は7歳で、身長は120センチくらい。短い髪に赤いキャップを被り、服装はキトラくんがプリントされたティーシャツとベージュのズボン、靴は赤いスニーカー。そうです。午前11時台に噴水広場の防犯カメラに映っていた男の子の特徴と一致します。
防犯カメラの映像によると、〇〇くんはキトラくんと手を繋ぎ、一緒にタイガーフォレストのバックヤードに入っている。しかし、従業員目線で見るとこれは奇妙な状況です。タイガーフォレストのアトラクション内に迷子センターはありません。しかも噴水広場の近くに迷子センターがありますから、そこへ向かわぬ理由がないのです。そしてタイガーフォレストのバックヤードに入ったまま、二人は姿を消してしまった。結局、〇〇くんは迷子センターに保護されることはなく、現在に至るまで行方不明のままになっています。
仮に迷子センターに保護されていないとしても、従業員と一緒にいたなら、最終的には無事に発見され、親元へ帰されるはず。だけどそうはならなかった。だとしたら、〇〇くんを連れて行ったこのキトラくんは何をしていたのでしょう。
防犯カメラ映像にはほぼ同時刻に、タイガーホール前とエントランス広場でお客様と触れ合っている、別のキトラくんが映っていたかと思います。実は虎倉井ブリーズワールドで活動するキトラくんの着ぐるみは、二体しか存在していません。キトラくんが同時に三体存在することなどありえないのです。タイガーホール前、エントランス広場で活動していたキトラくんの中身が正規のスタッフであることは間違いありませんが、〇〇くんと接触したキトラくんが何者なのか、その正体は不明です。
私はこの監視カメラ映像について園長に報告しましたが、何か動きがあったようには思えません。管理体制が緩かったのでその後、何かの役に立てばと、半ば衝動的にこの防犯カメラ映像を持ち出しましたが、勝手に映像を持ち出した負い目もあり、表立って訴え出ることは出来ませんでした。
皆さまも知っての通り、2001年の10月には虎倉井ブリーズワールドが突然閉園を迎えることになり、結局は全てが有耶無耶になってしまった。閉園後も、私はアクションを起こすことは出来ませんでした。何を言っても言い訳にしかなりませんが、私自身も閉園によって職を失ってしまいましたから、就職活動と日々の生活に追われ、この時期は自分のことで手一杯だったのです。
それでも今日に至るまでビデオを処分せずに残していたのは、やはり心の中で、〇〇くんのことがずっと引っ掛かっていたからだと思います。今回「虎倉井ブリーズワールドメモリープロジェクト」が開催されたことについて、誠に勝手ながら、運命めいたものを感じずにはいられませんでした。
この映像を誰かに見てもらう機会は今しかない。これが自己満足であることは分かっています。私はただ、この映像を手元に置き続けている罪悪感から解放されたいだけなのでしょう。それでも、この映像を提供することには意義があると信じています。あの日、虎倉井ブリーズワールドには確かに、〇〇くんが存在していました。この監視カメラ映像こそがその証です。
ここからは推測になりますが、もしかしたら事件はこれだけではないのかもしれません。私は昔からの従業員ではなかったので、詳細は把握していませんが、虎倉井ブリーズワールドでは過去にも何度か、子供が行方不明になる事件が発生していたようです。もしかしたらそれらにも、この謎の第三のキトラくんが関わっていたのではないか? そんな気がしてなりません。いつか、真実が明らかになる日はくるのでしょうか。
提供者:匿名希望
撮影時期:2001年6月3日。
撮影者との関係:防犯カメラ映像
【映像本編】
2001年6月3日の虎倉井ブリーズワールド内、噴水広場を見下ろす形で撮影する防犯カメラの映像のようだ。当時の映像なので、カメラは固定で音声は記録されていない。画素数は30万から40万画素程度と映像が荒く、画面の下の方では、砂嵐のような横線、トラッキングノイズが常に走っている。カラー映像ではあるが、彩度は低く、色味は大雑把にしか分からない。
画面の隅のデジタルの日付表示は、2001年6月3日の午前11時1分を示している。映像の中央に映る噴水広場の前で、ビデオカメラを持った女性が噴水を撮影している。噴水の撮影を終えると、女性は画面の下側にあるベンチに座った。周囲に人気はほとんどなかったが、1分もすると、赤いキャップと黒いティーシャツ、赤いスニーカーを履いた小さな男の子が一人で、中央の噴水へとやってきた。昔のカラー映像なので、赤いキャップとスニーカーの色が、横に流れるように滲んでいた。そのまま男の子は噴水の淵に手をついて、水場を覗き込んだ。
すると画面の上側から風船を一個持ったキトラくんが現れ、噴水を覗き込んでいた男の子に近づき、そっと肩に触れた。男の子を噴水から離すと、キトラくんは風船を手渡したが、男の子が喜んで飛び跳ねているうちに、風船は男の子の手を離れてふわふわと上昇し、画面からフェードアウトしていく。残念そうに上を見上げている男の子の肩に優しく触れると、キトラくんは自分がやってきた、画面の上側の方向を指さした。そのままキトラくんは男の子と手を繋ぎ、画面の上側、防犯カメラの画角の外へと消えていった。少し遅れて、ベンチに座っていたビデオカメラを持った女性が立ち上がり、二人の後を追うように、画面の上側へと消えていった。
防犯カメラの映像が、タイガーホール前に切り替わる。時刻は11時5分。そこではキトラくんの着ぐるみがお客さんと写真撮影をしていた。
防犯カメラの映像が、エントランス広場へと切り替わる。時刻は11時6分。ここでは別のキトラくんの着ぐるみが、ファンの女性とハグを交わしていた。
防犯カメラの映像が、タイガーフォレスト前を撮影したものへと変わる。時刻は11時7分。画面の下側、噴水広場の方角から、赤いキャップの男の子とテトラくんが姿を現し、二人はそのまま、タイガーフォレストの建物の右側面にある、バックヤードの入り口の中へと消えていった。ビデオカメラを持った女性も噴水広場から姿を現し、二人の方へとカメラを向けていたが、二人が建物の中へ入っていくのを見届けると、カメラを一度しまい、噴水広場の方へと引き返していった。
防犯カメラの映像が、タイガーフォレストのアトラクション内へと切り替わる。入ってすぐの位置に設置されたカメラは、お客さんが続々と入場してくる様子を延々と映し続けている。迷路内の映像では、迷いやすい分岐点と、複数の行き止まりの箇所に防犯カメラが設置されているが、目立ったトラブルは確認されない。出口付近の防犯カメラは、入場したお客さんが漏れなく、タイガーフォレストから脱出する様子を延々と撮影し続けている。
バックヤードにもカメラが一台設置されているが、制服の緑色のポロシャツを着たスタッフが時々行き来するだけで、目立った変化は見られない。結局、タイガーフォレストに入っていった赤いキャップの男の子とキトラくんは、一度も内部の防犯カメラに映ることはなかった。
防犯カメラの映像が、迷子センター前へと切り替わる。時刻は11時29分を示している。カメラは迷子センターに、夫婦らしき男女二人が駆け込んでいく様子を捉えていた。
以上が、匿名希望さんから提供された映像である。
映像に関するエピソード
突然、このようなビデオを送り付けてしまい、驚かせてしまったかと存じます。私は当時、虎倉井ブリーズワールドに勤務していた関係者で、この映像は正真正銘、当時の園内を撮影した防犯カメラ映像です。25年も昔のこととはいえ、防犯カメラ映像の持ち出しは許されることではありません。ですからどうか、私のことは詮索しないでください。
映像が撮影されたこの日、虎倉井ブリーズワールドで一人の男の子が迷子になり、正午前に両親が迷子センターに駆け込んできました。迷子になっているのは、〇〇市から家族で遊びに来ていた〇〇くん。年齢は7歳で、身長は120センチくらい。短い髪に赤いキャップを被り、服装はキトラくんがプリントされたティーシャツとベージュのズボン、靴は赤いスニーカー。そうです。午前11時台に噴水広場の防犯カメラに映っていた男の子の特徴と一致します。
防犯カメラの映像によると、〇〇くんはキトラくんと手を繋ぎ、一緒にタイガーフォレストのバックヤードに入っている。しかし、従業員目線で見るとこれは奇妙な状況です。タイガーフォレストのアトラクション内に迷子センターはありません。しかも噴水広場の近くに迷子センターがありますから、そこへ向かわぬ理由がないのです。そしてタイガーフォレストのバックヤードに入ったまま、二人は姿を消してしまった。結局、〇〇くんは迷子センターに保護されることはなく、現在に至るまで行方不明のままになっています。
仮に迷子センターに保護されていないとしても、従業員と一緒にいたなら、最終的には無事に発見され、親元へ帰されるはず。だけどそうはならなかった。だとしたら、〇〇くんを連れて行ったこのキトラくんは何をしていたのでしょう。
防犯カメラ映像にはほぼ同時刻に、タイガーホール前とエントランス広場でお客様と触れ合っている、別のキトラくんが映っていたかと思います。実は虎倉井ブリーズワールドで活動するキトラくんの着ぐるみは、二体しか存在していません。キトラくんが同時に三体存在することなどありえないのです。タイガーホール前、エントランス広場で活動していたキトラくんの中身が正規のスタッフであることは間違いありませんが、〇〇くんと接触したキトラくんが何者なのか、その正体は不明です。
私はこの監視カメラ映像について園長に報告しましたが、何か動きがあったようには思えません。管理体制が緩かったのでその後、何かの役に立てばと、半ば衝動的にこの防犯カメラ映像を持ち出しましたが、勝手に映像を持ち出した負い目もあり、表立って訴え出ることは出来ませんでした。
皆さまも知っての通り、2001年の10月には虎倉井ブリーズワールドが突然閉園を迎えることになり、結局は全てが有耶無耶になってしまった。閉園後も、私はアクションを起こすことは出来ませんでした。何を言っても言い訳にしかなりませんが、私自身も閉園によって職を失ってしまいましたから、就職活動と日々の生活に追われ、この時期は自分のことで手一杯だったのです。
それでも今日に至るまでビデオを処分せずに残していたのは、やはり心の中で、〇〇くんのことがずっと引っ掛かっていたからだと思います。今回「虎倉井ブリーズワールドメモリープロジェクト」が開催されたことについて、誠に勝手ながら、運命めいたものを感じずにはいられませんでした。
この映像を誰かに見てもらう機会は今しかない。これが自己満足であることは分かっています。私はただ、この映像を手元に置き続けている罪悪感から解放されたいだけなのでしょう。それでも、この映像を提供することには意義があると信じています。あの日、虎倉井ブリーズワールドには確かに、〇〇くんが存在していました。この監視カメラ映像こそがその証です。
ここからは推測になりますが、もしかしたら事件はこれだけではないのかもしれません。私は昔からの従業員ではなかったので、詳細は把握していませんが、虎倉井ブリーズワールドでは過去にも何度か、子供が行方不明になる事件が発生していたようです。もしかしたらそれらにも、この謎の第三のキトラくんが関わっていたのではないか? そんな気がしてなりません。いつか、真実が明らかになる日はくるのでしょうか。



