静岡県立安久中学校にて行われた実験の記録

【学級担任日誌】
記載者  :森下明文
所属   :静岡県立安久中学校
担当学級 :2年2組
授業年月日:6月3日(金曜日)
出席生徒数:29名
欠席生徒数:なし
早退生徒数:なし
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特記要項:妊娠検査に陽性だった3名の女子生徒に関して、午前中の時間を使って別室にてカウンセリングを行うという知らせがあり、3名の女子生徒はそのままカウンセリングを受けた。他の生徒に関しては通常通りの授業を行うこととした。それにあたり、特に問題などは起こらなかった。3名の生徒に関して、欠席となった授業の内容については、今後課題プリントの配布などで対応することとした。

感想等:昨日どう話をするべきかと悩んでいた、木下奈々(女子3番)、中村詩織(女子10番)、平野茜(女子12番)の3名に関し、午前中の時間を使って別室にてカウンセリングが行われるという知らせが朝にもたらされた。それを聞いて私は正直、心から安心してしまった。自分の口からそれらの詳しい話をすることが、苦痛で仕方がなかったからだ。3人に対して私からは、あの臨時の健康診断が妊娠検査であったこと、その検査に陽性であったことだけを伝えるにとどめ、それ以上のことは話したり聞いたりしなかった。当然、妊娠の心当たりとなるような事項についてもなにも聞いていない。私の話を聞いた3人は当然のように動揺し、取り乱していた様子であったが、私はそれ以上の話をすることは控え、そこから先はカウンセリングの先生に託すことした。
問題は、3人がクラスに戻ってきた午後の時間である。私は3人とこれからどう接してべきかと頭を悩ませていたが、どういうわけかカウンセリングから戻ってきた3人は非常にケロッとした様子で、全く普段通りの表情を浮かべていた。ついさっきまであれほど動揺していたというのに、全く元通りのようになっていたのだ。そしてそれどころか、3人とも妊娠の事実や検査のことについて全く覚えていなかったのだ。その光景を前に、私は今まで夢でも見ていたのではないかという感覚にとらわれてしまい、それ以上会話を続けることができなかった。3人に嘘をついているような様子は全くなく、むしろ私の方が間違ったことを言っているかのような雰囲気であった……。いや、私としてはこれらがすべて悪い夢であったならそれで良いのだが、それにしたとていったい何がどうなっているのか……。