翌日、目を覚ますと部屋の布団で寝ていた。起きると緋乃里が部屋に来て焔は怪我の手当を終え、医師から全治二週間の安静を言い渡されたことを知る。
一週間後に面会が許可され、緋乃里に焔へ食事を部屋に運んでほしいとお願いされた真知。いざ部屋の前に立つと先日のことを思い出して入るのを躊躇ってしまう。
廊下を行ったきたりと落ち着かない様子だ。
(私ったら、焔様の前であんなに取り乱してしまって…。本来なら合わす顔なんてないけど、食事を取っていただくことは大事なこと)
「勇気を出すのよ真知」
「勇気を出して何をするんだ?」
「きゃっ!ほ、焔様…!?聞いていらしたのですか?」
「何をだ?真知が俺の部屋に入るのを迷っているように見えたから、こちらから出迎えてみた。ん?食事か。丁度いい。中で共に食べながら話をしよう」
真知は緊張して小さくなった声で「はい」と返事した。
「では、緋乃里!」
「はーい焔様…!真知様の分のお食事、お持ちしました〜!」
焔が呼ぶと真知の背後から緋乃里が音も立てずに食事を持って現れた。
「えっ!?緋乃里さん、いつからそこに」
「ふっふっふっ。アタシような優秀な鬼族は、いつでもどこでも呼ばれたらすぐに駆けつけられるんですよ〜」
えっへん!っと自信満々に胸を張る緋乃里の無邪気な可愛さに微笑む真知。焔はそんな真知のぎこちなさが残る笑顔を見て静かに笑みを浮かべた。
「ご馳走様でした」
「美味しかったか?」
「はい。私、ここに来てからお食事が楽しみになったんです」
いつも一人で食事をしていて真知。屋敷に来てから焔や緋乃里とともに過ごす時間と美味しい食事は心の隙間を埋めてくれる温もりを感じるひとときとなっていた。
「そうか。なら今度、皆を呼んで食事会をしよう」
「いいですね。あ、真鈴と梢さんをお呼びしてもいいでしょうか?」
「あぁ、そのつもりだ」
真知は喜びでパァっと明るい笑顔を見せる。面のズレを直すふりをして照れ隠しする焔。
「ありがとうございます。楽しみですね、お食事会」
「そうだな。それはそうと真知。君はこの一週間で随分と甘えるようになったな」
「えっ!?そ、そんなことは…」
頬を赤らめ視線を逸らすと焔は顎をスっと持ち上げて自分の方を向かせる。ずっと付けていた面を取り、紅蓮の瞳で真知を見つめる。
「甘えるだけで恥じるとは、君はますます可愛らしいな」
「焔様…!あの」
初めて素顔を顕にしたその姿。艶のある黒髪に筋の通った美しい鼻筋、そして最も印象的な炎のように赤い、紅蓮の瞳。
あやかしの中で最高峰の美しさを誇るに目を奪われた真知の胸の鼓動はドキドキと加速していく。
「もっと俺に甘えてくれ。真知の願いなら何でも叶える」
「願いならもう、十分に叶えてもらいました。それよりもお、お話があったのでは?」
「話…?あぁ、あれか。すまない。真知に甘えてもらえた事が嬉しくて忘れていた。…そうだな、まずは俺がなぜ、雪華祭の招待状に真知の名を書いたのか。きっかけは雪華祭の一か月、俺が魔物討伐をしていた時だ」
ーとある村に現れた魔物を討伐しに来ていた焔。村人が寝静まった真夜中に微かに残った気配を頼りに探っていく。
腰には鬼神のみ、持つことを許されている刀、懐には人間の祓い屋一族が作った浄化用の御札を持ち歩ている。札はあくまで一時しのぎ。近年、魔物には浄化の力は効きずらくなっているため、刀での攻撃か陣で発動させた霊力による攻撃、そして異能でしか倒せない。
焔はいつものように刀とあやかしだけが持つ異能の力で魔物の討伐を試みた。しかし、この日の魔物はなかなかの強敵で押され気味な状態だった。足止めをしようと、札を使用すると魔物の様子は急変。なんとそのまま浄化されたのだ。
札は今回、祓い屋一族の中で最強と呼ばれている伊澄家から取り寄せたもの。
一週間後に面会が許可され、緋乃里に焔へ食事を部屋に運んでほしいとお願いされた真知。いざ部屋の前に立つと先日のことを思い出して入るのを躊躇ってしまう。
廊下を行ったきたりと落ち着かない様子だ。
(私ったら、焔様の前であんなに取り乱してしまって…。本来なら合わす顔なんてないけど、食事を取っていただくことは大事なこと)
「勇気を出すのよ真知」
「勇気を出して何をするんだ?」
「きゃっ!ほ、焔様…!?聞いていらしたのですか?」
「何をだ?真知が俺の部屋に入るのを迷っているように見えたから、こちらから出迎えてみた。ん?食事か。丁度いい。中で共に食べながら話をしよう」
真知は緊張して小さくなった声で「はい」と返事した。
「では、緋乃里!」
「はーい焔様…!真知様の分のお食事、お持ちしました〜!」
焔が呼ぶと真知の背後から緋乃里が音も立てずに食事を持って現れた。
「えっ!?緋乃里さん、いつからそこに」
「ふっふっふっ。アタシような優秀な鬼族は、いつでもどこでも呼ばれたらすぐに駆けつけられるんですよ〜」
えっへん!っと自信満々に胸を張る緋乃里の無邪気な可愛さに微笑む真知。焔はそんな真知のぎこちなさが残る笑顔を見て静かに笑みを浮かべた。
「ご馳走様でした」
「美味しかったか?」
「はい。私、ここに来てからお食事が楽しみになったんです」
いつも一人で食事をしていて真知。屋敷に来てから焔や緋乃里とともに過ごす時間と美味しい食事は心の隙間を埋めてくれる温もりを感じるひとときとなっていた。
「そうか。なら今度、皆を呼んで食事会をしよう」
「いいですね。あ、真鈴と梢さんをお呼びしてもいいでしょうか?」
「あぁ、そのつもりだ」
真知は喜びでパァっと明るい笑顔を見せる。面のズレを直すふりをして照れ隠しする焔。
「ありがとうございます。楽しみですね、お食事会」
「そうだな。それはそうと真知。君はこの一週間で随分と甘えるようになったな」
「えっ!?そ、そんなことは…」
頬を赤らめ視線を逸らすと焔は顎をスっと持ち上げて自分の方を向かせる。ずっと付けていた面を取り、紅蓮の瞳で真知を見つめる。
「甘えるだけで恥じるとは、君はますます可愛らしいな」
「焔様…!あの」
初めて素顔を顕にしたその姿。艶のある黒髪に筋の通った美しい鼻筋、そして最も印象的な炎のように赤い、紅蓮の瞳。
あやかしの中で最高峰の美しさを誇るに目を奪われた真知の胸の鼓動はドキドキと加速していく。
「もっと俺に甘えてくれ。真知の願いなら何でも叶える」
「願いならもう、十分に叶えてもらいました。それよりもお、お話があったのでは?」
「話…?あぁ、あれか。すまない。真知に甘えてもらえた事が嬉しくて忘れていた。…そうだな、まずは俺がなぜ、雪華祭の招待状に真知の名を書いたのか。きっかけは雪華祭の一か月、俺が魔物討伐をしていた時だ」
ーとある村に現れた魔物を討伐しに来ていた焔。村人が寝静まった真夜中に微かに残った気配を頼りに探っていく。
腰には鬼神のみ、持つことを許されている刀、懐には人間の祓い屋一族が作った浄化用の御札を持ち歩ている。札はあくまで一時しのぎ。近年、魔物には浄化の力は効きずらくなっているため、刀での攻撃か陣で発動させた霊力による攻撃、そして異能でしか倒せない。
焔はいつものように刀とあやかしだけが持つ異能の力で魔物の討伐を試みた。しかし、この日の魔物はなかなかの強敵で押され気味な状態だった。足止めをしようと、札を使用すると魔物の様子は急変。なんとそのまま浄化されたのだ。
札は今回、祓い屋一族の中で最強と呼ばれている伊澄家から取り寄せたもの。



