誓詞~健やかなるときも病めるときも~

▼ 日記アプリ「にっきろぐ」より

・4月5日

【0405_1905.mp3】▶再生

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▼音声ファイル【0405_1905.mp3】


 どうすればいいんだ……。正直もう、自分のいる今ここが本当に現実の世界なのか、夢の世界なのかの判別がつかなくなっている。

 目を覚ますとベッドの上だった。いつも通りの朝だった。あぁ夢から覚めることができたんだと。ショックによる強制脱出ってああいう感じなのかと、そう思った。

 でも昼過ぎにインターホンが鳴って。モニターの前にひとみさんとゆう君が立っているのを見て悲鳴を上げそうになった。

 あ、あんな……あれだけのことをされて無事なわけがない。けど、ゆうくんは傷ひとつない状態だった。だから、ああやっぱりあれは夢だったんだなって。そう安心できたと思ったのに!

 たしかに、ゆう君は何事もなかったかのように笑顔で立っていた。けど、何かがおかしかったんだ。それに、やって来たひとみさんは確かに言った。

「昨日はお騒がせしてしまって、本当にごめんなさいね」

 そう言って……。
 ゆう君も、どこか焦点が合わないような目で「すみません……。彼女の愛を受け止めるに値する人間なのかと不安になってしまい……僕は愚かにもあのようなことを、してしまいました……」って。

「そんな些末な悩み、何も抱く必要はないのに。ねぇ? ひとみさん」
「でも、こういう嚙みつき癖があるところも可愛らしいでしょう?」

 明らかに異常なふたりの会話を、僕はただ茫然と突っ立って聞いていることしかできなかった……。

「まぁお仕置きはもう済んだし、よしとしてあげたの」

 そう言うってことは、無かったことになってない。……終わってないんだ、夢が!
 ゆ、ゆう君の一人称は“俺”だろう? アレは、本当にゆう君だったのか……?

 でも夢なら、なんで手が湿ってるんだよ……! うう……これが、現実? 嘘だそんなはずない……それに夢だとして、どうやって現実に戻ればいい? どうやったら現実に戻れたんだって、確信できる?

 もう何も信じられない……俺はどこまで深く入りこんでしまったんだ。本当のふみ恵はどこに……ああっ……ちが、違う! ふみ恵のいる世界が現実じゃなくちゃいけないんだ……なのにっ、うあぁあっ!

 誰か、誰か助けて……俺を起こしてくれ!

(扉のノック音)

 ひうっ……!

 實さん。ご飯できたよ?

 う、うん……! ありがとう。今行く……!

 今日は昨日残った骨付き肉でシチューを作ったの。よく煮込んだから、硬かったお肉もほろほろで美味しいよ。先によそって待ってるね。

(遠のいていく足音)

 う、ううっ、うぅううう……っ。俺は今どこに存在している……? 誰か、誰か教えてくれ……! 誰か!