誓詞~健やかなるときも病めるときも~

▼日記アプリ「にっきろぐ」より

・3月20日

 嘘だろ……。遠目だったけど、あれは絶対に見間違いじゃない。
 婚約指輪と結婚指輪のデザインをどうしようか、ふみ恵とジュエリーショップに訪れた帰りだった。反対側の街路樹の影にいた。

 なんだって君は、僕がこれから幸せになろうというときに現れるんだ。
 あのとき、思い切って警察に口頭警告をしてもらって気配が止んだから、もう大丈夫だと思っていたのに。
 別れてもう何年経ったと思ってるんだ……まだ僕に執着してるってこと? 怖い。

 心配かけまいと咄嗟に平静を装ったつもりでも、ふみ恵の目は誤魔化せなかったみたいだ。問い詰められて見られていたことを白状すると、「どうして實さんをここまで苦しめるの」と怒りを露わにしてくれた。
 代わりに怒ってくれるふみ恵の姿を見て、心の中のざわついた感情も少しだけ鎮まった気がした。

 はぁ、これはどうするのがいいんだろうか……。警察に接近禁止命令を出してもらいたくても、前みたいに物的証拠があるわけじゃない。
 また何か起こるまで警戒し続けないといけないのか? 郵便物を見るのが怖くなってしまったのだって、今も治っていないのに。

 どうかこの先、何もありませんように……。