今日は、雨が降っていた。
桜の満開がニュースで報告されてから、もう二週間。
待ち合わせ場所の公園で、傘をさして咲結を待つ。
初めて入ったはずなのに、どこか懐かしいのは。きっと何度も目の前のファミレスに楓と入り浸っていたからだろう。
「ごめん、お待たせー!」
傘をさして、スーツに身を包んだ咲結がパタパタと走って来る。
その姿を見つけて、僕は軽く手を挙げて合図をする。
「大丈夫だよ。僕も、今来たところだから」
今日は、四月九日。咲結の二十三歳の誕生日だ。
「どう? 会社には慣れた?」
「全然だよー。だってまだ、七日くらいしか出勤してないし。今は研修期間だから、ノートとペン持って、マナー講座ばっかり受けてる」
咲結は都会の大学に進学して、この春から大きな出版社に就職した。
「優緋くんは? 最近どうなの?」
「僕はシェフにしごかれてる。でももう三年目に入るから、一人で任せてもらえることも増えてきたよ」
「それは、将来期待できるね。自分の店を持つって夢、応援してる」
「咲結の家のカフェで働き続けるって言ったのに、申し訳ないけど……」
「いいのいいの。あれは、親がやりたくて始めたことなんだから。後を継ぐ人が必要なほど老舗ってわけでもないし、誰かに押し付けるものでもないからね」
そう、桜の木を見上げた。
雨粒の重みに耐えきれなくなった桜の花びらが落ちていく。
「桜流しの雨だね。もう、今年の桜も終わりか……」
どこか寂しそうで、どこかわくわくしたような口調だ。
「希望の部署に配属されるといいね」
「うん。絶対、入るよ。少女マンガの編集部。だって、ここまで来たんだよ?」
そう、僕の方を振り向いて、微笑んだ。
「あ、バス、きた。行こっか」
公園前のバス停に、一台のバスが停まる。
僕たちは、そのバスに乗り込んで。目的地へ向かった。
桜の満開がニュースで報告されてから、もう二週間。
待ち合わせ場所の公園で、傘をさして咲結を待つ。
初めて入ったはずなのに、どこか懐かしいのは。きっと何度も目の前のファミレスに楓と入り浸っていたからだろう。
「ごめん、お待たせー!」
傘をさして、スーツに身を包んだ咲結がパタパタと走って来る。
その姿を見つけて、僕は軽く手を挙げて合図をする。
「大丈夫だよ。僕も、今来たところだから」
今日は、四月九日。咲結の二十三歳の誕生日だ。
「どう? 会社には慣れた?」
「全然だよー。だってまだ、七日くらいしか出勤してないし。今は研修期間だから、ノートとペン持って、マナー講座ばっかり受けてる」
咲結は都会の大学に進学して、この春から大きな出版社に就職した。
「優緋くんは? 最近どうなの?」
「僕はシェフにしごかれてる。でももう三年目に入るから、一人で任せてもらえることも増えてきたよ」
「それは、将来期待できるね。自分の店を持つって夢、応援してる」
「咲結の家のカフェで働き続けるって言ったのに、申し訳ないけど……」
「いいのいいの。あれは、親がやりたくて始めたことなんだから。後を継ぐ人が必要なほど老舗ってわけでもないし、誰かに押し付けるものでもないからね」
そう、桜の木を見上げた。
雨粒の重みに耐えきれなくなった桜の花びらが落ちていく。
「桜流しの雨だね。もう、今年の桜も終わりか……」
どこか寂しそうで、どこかわくわくしたような口調だ。
「希望の部署に配属されるといいね」
「うん。絶対、入るよ。少女マンガの編集部。だって、ここまで来たんだよ?」
そう、僕の方を振り向いて、微笑んだ。
「あ、バス、きた。行こっか」
公園前のバス停に、一台のバスが停まる。
僕たちは、そのバスに乗り込んで。目的地へ向かった。



