⑥三センチ分ほど沸騰して水分が飛んだら、野菜に火が通っているか確認し、塩で味を調整する。
「ちょ、優緋くん! もういいよ!」
キッチンに来た咲結さんが、僕と鍋の間に割り込んできた。
「え? え、なに?」
「なに、じゃないよ。もうとろみどころかどろどろだよ」
そう言われて、鍋を見る。
三センチ、水分を飛ばすはずが、鍋の半分以上、減っていた。
「ありゃりゃ、ちょっと焦げちゃったね」
木べらを持ち上げると、焦げ目の付いたジャガイモが持ち上げられていた。
「ごめん」
「いいよいいよ。大丈夫。こういうこともあるよ。失敗は成功の基っていうでしょ? 優緋くん、料理できるようになってきたし、次は大丈夫だよ」
そう、シチュー味の煮物と化した鍋の中身を、お皿に移した。
シチューを無理やりグラタンにしようとしたみたいになってしまった。
「これは、あとで私が食べるね。優緋くんは、こっちのシチュー、食べてね」
「いや、そんな残飯処理みたいなことさせられないよ」
「いいの。ちゃんとした味も、覚えてもらわないといけないからさ」
そう、そのまま休憩に入ることになった僕に、白くておいしそうなシチューを付けてくれた。
僕と入れ替わるように、春山さん夫婦がお店に出るときの格好とは違う、おしゃれな服を着て、家の扉からこちらに入ってきた。
「私たち、そろそろ出かけるわね」
「うん。気を付けてね」
そんな会話が耳に届く。
春山さん夫婦を見送った後、咲結さんに聞いた。
「今日、二人は?」
「ああ、広告会社の方に、ペアの温泉旅行の券をもらったんだって。使わないのも悪いから、行ってきなって。だから、今から閉店までの三時間、二人で乗り切ろうね」
それって、ありなのか?
なんだかこの前の文化祭から、春山さん夫婦も、咲結さんの学校の人も。
あまり彼女を大事にしていないんじゃないか、と言う疑念が生まれていた。
学校は確定として、家族に関しては気のせいだと思いたいけれど。
「とりあえず、休憩してきなよ。シチュー、冷めちゃうよ?」
いつも通りの声色で、僕を見た。
僕は頷くことしかできずに、備品倉庫の中に引っ込むしかなかった。
その間も、咲結さんのお客様を迎え、見送る声や、料理を作る音が止まず、色々心配するには十分な負担を感じていた。
「ちょ、優緋くん! もういいよ!」
キッチンに来た咲結さんが、僕と鍋の間に割り込んできた。
「え? え、なに?」
「なに、じゃないよ。もうとろみどころかどろどろだよ」
そう言われて、鍋を見る。
三センチ、水分を飛ばすはずが、鍋の半分以上、減っていた。
「ありゃりゃ、ちょっと焦げちゃったね」
木べらを持ち上げると、焦げ目の付いたジャガイモが持ち上げられていた。
「ごめん」
「いいよいいよ。大丈夫。こういうこともあるよ。失敗は成功の基っていうでしょ? 優緋くん、料理できるようになってきたし、次は大丈夫だよ」
そう、シチュー味の煮物と化した鍋の中身を、お皿に移した。
シチューを無理やりグラタンにしようとしたみたいになってしまった。
「これは、あとで私が食べるね。優緋くんは、こっちのシチュー、食べてね」
「いや、そんな残飯処理みたいなことさせられないよ」
「いいの。ちゃんとした味も、覚えてもらわないといけないからさ」
そう、そのまま休憩に入ることになった僕に、白くておいしそうなシチューを付けてくれた。
僕と入れ替わるように、春山さん夫婦がお店に出るときの格好とは違う、おしゃれな服を着て、家の扉からこちらに入ってきた。
「私たち、そろそろ出かけるわね」
「うん。気を付けてね」
そんな会話が耳に届く。
春山さん夫婦を見送った後、咲結さんに聞いた。
「今日、二人は?」
「ああ、広告会社の方に、ペアの温泉旅行の券をもらったんだって。使わないのも悪いから、行ってきなって。だから、今から閉店までの三時間、二人で乗り切ろうね」
それって、ありなのか?
なんだかこの前の文化祭から、春山さん夫婦も、咲結さんの学校の人も。
あまり彼女を大事にしていないんじゃないか、と言う疑念が生まれていた。
学校は確定として、家族に関しては気のせいだと思いたいけれど。
「とりあえず、休憩してきなよ。シチュー、冷めちゃうよ?」
いつも通りの声色で、僕を見た。
僕は頷くことしかできずに、備品倉庫の中に引っ込むしかなかった。
その間も、咲結さんのお客様を迎え、見送る声や、料理を作る音が止まず、色々心配するには十分な負担を感じていた。



