真っ白なガーベラのような君へ

⑤沸騰したら弱火にして、とろみがつくまで煮込む。

「咲結さん、沸騰した」
「あ、じゃあ、弱火にして、そのまま煮立たせようか」
「うん。じゃあ、その間に洗い物やっちゃうね」
 咲結さんは頷いて、一旦ホールへ戻って行った。
 なんだか、成長したな。僕。
 我ながら、すごいと思う。料理ができるなんて、嘘みたいだ。
 包丁、まな板、ピーラー。それぞれ洗い終わって定位置に戻し、しばらくは鍋の前でとろみがつくまで待機だ。
 その間に、僕は考えていた。
 咲結さんは、今もきっと、いじめられている。そして、中学の頃も、きっと。いじめられていた。
 その痛みから、彼女を救うことはできるのだろうか。
 楓みたいに、痛みをともに背負い、相手の拠り所になることは、できるのだろうか。
 僕に夢をくれた咲結さんへ、僕は何を返せるんだろう。
 楓との約束を果たせそうな今、それを見つけさせてくれた彼女に、何をしてあげられるだろう。
 ……そもそも、そんなことは望んでいないだろうけど。
 遅ればせながら、僕も楓のように、咲結さんを救えたら。そう思う気持ちは、確かに僕の中にあった。