真っ白なガーベラのような君へ

* * *

 中学の入学式の日。その日は、雨が降っていた。
「桜流しっていうらしいよ」
 隣に座った人が、窓の外と僕を見て微笑んだ。
「雨宮……なにくん?」
 机の上の名札を見て、読み方を試行錯誤していた。
「あ、雨宮優緋です。ゆうひ」
「ひって読むんだ。かっこいいね。僕は高梨楓。よろしく!」
 隣の席の高梨楓は、爽やかに笑う人だった。
「もう、桜が散るね。入学式まで持つなんて珍しいらしいよ」
 僕の背にある窓。そこをどこか切なそうに眺めては、何かを思い出すように小さく笑った。
「詳しいんだね……?」
 話題をどう続けていいのかわからずに、僕の口から出たのはそんなよくわからないことだった。
「詳しいわけじゃないよ。友達が、桜が好きでさ。桜を散らす雨は、桜流しっていうんだって」
「へえ……」
「あいつ、大丈夫かな……」
 今度は心配そうな顔で、雨に流されていく桜の花を見つめていた。
 楓の第一印象は、爽やかでよくわかんない奴、だった。