真っ白なガーベラのような君へ

⑦二二〇度に予熱したオーブンで、十五分焼く。

「鉄板に器を乗せて、オーブンに入れるんだけど、中熱いから、やけどには気を付けてね」
「うん」
 ミトンを受け取って、それを手にはめる。四つの容器が乗った鉄板を灼熱のオーブンに入れて扉を閉める。
 その間に洗い物を済ませる。その間、僕たちの間に会話はなかった。
 ピーッと音が鳴る。焼きあがった合図だ。
「いい焦げ目。美味しそうにできたね」
 鉄板の上に乗ったグラタンを見て、咲結さんは目を輝かせた。
 グゥ、とおなかが鳴る音が聞こえてきたけど、聞こえないふりをした。
「うん。いい匂い」
「ね! あーお腹すいた!」
 ご飯をよそうでもなく、鍋敷きの上に熱々の器を置いて、そこにスプーンをぶっ刺した。
「あふ、あふっ」
 熱さに、目に涙を浮かべながらも、嬉しそうに口角を上げながら咀嚼していた。
「うん! おいしい!」
「ほんと? よかった」
「ほとんど一人でできてたから、もうこれも任せられるね。頼りにしてるよ」
 そんなハイペースで? とも思ったけど、嬉しい気持ちが勝っていた。
「あ、おいしい」
 僕も出来立てのグラタンを食べた。初めてのちくわグラタンは、おいしかった。
 ちくわの甘味が引き立っていて、正直今までで一番おいしいかもしれない。
「これ、持って帰って家で食べて。お皿はまた、バイトの日に持ってきてくれたらいいから」
「あ、ありがとう」
 全部食べ終わってから、紙袋に入れられた二皿のグラタンを受け取った。
「片付けはやっておくから、今日は帰っていいよ。遅くまで残ってもらってありがとう。またバイトの日にね」
 にこっと微笑むと、水道をひねった。