真っ白なガーベラのような君へ

⑥ピザ用チーズを全体的に乗せ、その上にパン粉を散らす。

 ピザ用モッツアレラチーズと書かれたパッケージのものを冷蔵庫から取り出して、僕の手に渡す。
「好きなだけって、どれくらい?」
「ホワイトソースが隠れるくらい。溶けるから、完全に隠れるというよりは、んー……。少し中の具材の色が覗くくらいの隙間はあってもいいかな」
「難しいな」
「まあ、全体的に中身が隠れるくらいでいいよ」
 そう、棚からパン粉を取り出して、微笑んだ。
 とりあえず、ホワイトソースが隠れるようにピザ用チーズを散らし、そこにパン粉をかける準備をする。これも全体を覆うくらいだろうか。そう思い、パン粉を一掴みして、その拳を袋から引き抜く。
「ああ、待って。そんなにかけなくていいよ。パン粉は表面にパラっと、ふりかけをかけるみたいに散らしてくれれば大丈夫だから。サクサクッとした食感を出すためのものだからさ」
「なるほど」
「ちなみに、パン粉が無かったら、食パンを削ればいいからね」
 へえ、そんな方法があるのか。
 咲結さんは僕の知らないことを知っている。当たり前だけど。
 オーブンレンジの予熱方法を教わって、ふと、思った。
「咲結さんに教われて、よかったな」
「ええ?」
 咲結さんは驚いたように僕を見て、返答に困ったように笑っていた。
「なんで? 私なんて未熟だし、専門の勉強もしてないし……」
「でも、きっとチェーン店とかだったら、こんなに丁寧に教えてもらえないだろうし。それに出来合いのものをレンチンするだけのものもあるっていうでしょ?」
「そうなの?」
「真相は、わかんないけど。僕の勝手な想像。でも、咲結さんに教われてよかったって、本当に思ってる」
 僕はなにを言っているんだろう。
 オーブンの予熱が完了するのを待っている間に、告白まがいなことを口走っていた。
 顔が熱い。思わず咲結さんから目を逸らす。
 そのとき、ピピピッと予熱が完了したことを知らせる音が鳴り響いた。